返事はない
まあ、いねェからな。返事が聞こえたらそれはそれで怖ェわ………
隣で氷咲が微笑んでいた
一瞬、氷咲がいることに喫驚するも言葉の意味を理解し、そっと彼女の腰に腕を回した
そのままゆっくり抱き寄せる
さっきとは違う、今にも壊れそうな、泣きそうな笑顔を浮かべてそう言った
氷咲が自身の鴉に手紙を渡し、ポケットから何かを取り出した
氷咲は微笑みながら、と言っても分かりやすい作り笑顔を浮かべて、その録音機だと思われるものを起動させた
「あんた、なーんか腹立つんだよねぇ」
それは明らかに夢見の声だった
グサッ という鈍い音に続いてまたも夢見の声で
「これ持って………持てよッッ!!」
これは夢見が自作自演をしたという決定的な証拠だ
この証拠である録音機も鴉に渡された
あなたの鴉)ホントニイイノカ?
………まさかッッ!
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。