第2話

二話
「……ん」


 目が覚める。

 小うるさいアラームを乱暴に止め、だるさを感じながらも起き上がった。

 とても不思議な夢を見た気がする。何というか、自分なのだけど自分じゃないような……。よく思い出せない。明晰夢でも見ていたのかも知れないな、と自分を納得させた。

 ベッドから起き上がり、カーテンを開く。朝日が狙いすましたかのように目を突き刺してきた。半目になりながら軽いストレッチをする。

 時計をみれば、朝の8時。とりあえず規則的な生活、と呼んで良さそうな時間だった。

 朝食に目玉焼きを焼き、ハムとレタスと一緒にパンで挟む。それを牛乳で流し込んだところに、職場から連絡が入った。

 嫌な予感を感じつつ、電話に出る。上司の嫌な声がけたたましく聞こえてきた。


『ジャンティーレ・マリナンジェーリィ!貴様、今どこにいる!?』


 あぁ、なんて不運な日なのだろうか。この流れには覚えがある。非番の日なのに怒鳴られ、貶され、そして次は……


『事件だ、早く来いっ!!』


 特別手当、あるんだろうな。そんな風に訝しみながらも、出勤の準備を始めた。




 中古のおんぼろを走らせつつ、仕事場へ向かう。ここいらで自己紹介をしておくべきだろう。


 名前は”ジャンティーレ・マリナンジェーリ”職業は警察官だ。詳しく言えば、26歳の巡査部長。女性と話すのは少し苦手。子供や老人なら大丈夫だが、美女は勘弁願おう。

 現在、職場の上司に呼び出され、休日出勤の真っ最中。なんだってんだ、全く。


「……いや、俺は何をしてるんだ」


 自己紹介なんて、聞かせる相手もいないのに。どうやら相当頭に来てるらしかった。

 しかし、おかしな夢は見るわ、目玉焼きは焦がすわ、休日出勤だわで最悪な一日だ。






 これから起こることを思えば、まだマシなのだけど。でも、そんな未来を考える暇も、この頃の俺には無い。

 あったところで、あの未来は、避けられない。