第11話

五話
「……デケェ」


 病院を見た第一印象である。

 ここ数年病気にもならず、病院には久しぶりに来た。

 しかし、こんなに大きかったっけか、この病院。

 ただ大きいわけでは無く、洗練された雰囲気もある。

 院内は看護師や医師があちこちで忙しなく動いている。

 いい病院だ、と思わせるだけの活気があった。


「ここに、彼がいるのか」


 エルネスト・リナウド。

 天才外科医とも名高く、先日の手術で更に脚光を浴びている男性だ。

 中年ではあるが、整った顔立ちとミステリアスな雰囲気から、その人気は高く、女性誌で特集が組まれるほどである。

 そして、連続殺人の重要参考人でもある。

 使用された薬品については、まだマスコミには発表していない情報だ。

 逆に言えば、勘づかれる前に話を聞いておきたいのである。



 受付の女性に、警察手帳を見せる。

 事前にアポを取っていたため、素早く応接室に通された。

 豪華な室内に緊張していると、ドアがノックされる。


「お待たせして申し訳ございません。リナウドと申します」


 対する彼は、警察の訪問にも緊張していなかったようだけど。

 気を引き締めながら挨拶を返す。

 どんな情報でも良い、必ず犯人を炙り出してやる。

 あのふざけた殺人を、止めさせるのだ。