第3話

三話
「遅いぞマリー、早く座れ!」


 仕事場……もとい捜査本部に着いたが、そこには上司以外誰もいなかった。どうやら全員捜査に行ってしまったらしい。おかげで上司と二人っきりの捜査会議だ。

 まぁ、とんでもない美女と二人っきりでも困惑するけど。

 ちなみに、”マリー”は俺のニックネーム。俺一人にのみ大変不評である。


「すみません。それで、なんの事件でしょう」


 平謝りしながら上司の反対側に座る。大したな事件じゃなかったら、この場で怒り狂ってやろうと思いながら聞く。上司はため息を吐きながらも、分厚い書類を渡してきた。


”フラックリン連続殺人事件⑥”


 そう書かれた書類に思わず飛びついてしまう。

 ここ数日、同一犯とみられる人物による殺人が続いていた。その数五件。ついに六件目が起こってしまったと言うわけだ。

 あぁ、クソッタレ。どうやったらこんな死体を量産できるんだか。

 書類に添えられた写真は、どれもこれも無残なものばかり。計五枚の中に、血だまりの写っていない無い写真は無い。

 吐き気さえ覚える写真の数々に、口元を押える。上司も同じ感想のようで、それを咎められることは無かった。

 
「さて、説明を始めるぞ」


 不快だ。不気味だ。

 だが、それよりも腹立たしいのだ。

 被害者たちは、こんな惨い死に方をするべきじゃなかったのだから。