数日が経ったある日。
ジョングクは仕事終わりに大学に来ていた。
通い慣れた門をくぐって、キャンパスの中を歩く。
数年ぶりに入った大学の雰囲気は、あの頃と何も変わっていなかった。
何度も来ていた部屋の扉の前に来て、大きく深呼吸をする。
コンコン……
ジョングクは促された椅子に座った。
乱雑に置かれた書類や、高く積まれた本。
何も変わらない部屋の様子に、つい笑みがこぼれる。
先生は引き出しから書類を1枚取り出した。
先生は部屋を出て行った。
机の上に置かれた書類に視線を落とす。
『第18回アルテ・ラグーナ賞』募集要項
※テーマは不問
正直、チャレンジしてみたい気持ちはある。
ただ、今1つ自分に自信が持てなくて、踏み出せない。
ふと、この間自分の絵を見て、泣いて喜んでくれたテヒョンの顔が浮かんだ。
先生はコーヒーを1口飲んでからまた椅子に腰掛けた。
ジョングクは飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。
ジョングクは動揺を隠す為に、コーヒーをまた1口飲んだ。
ジョングクは先生にお辞儀をして、部屋を出た。
ポケットに入れた携帯が震える。
見ると、テヒョンの文字。
テヒョン
『ぐぅちゃん終わった?迎えに来たよ』
ジョングクはすぐにカトクを返した。
ジョングク
『今、終わったよ…すぐ向かうね』
ジョングク
『テテ……大好きだよ』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。