第7話

絆創膏。
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2018/09/09 06:35
印刷室に機械音が鳴り響く。
印刷機から大量の文字が吐き出される。
それを班ごとに分けてまとめておく。
このような仕事をさっきから30分位やっている。
「あと何枚?腹減ったんだけど」
中野が文句を言いながら書類をまとめている
みんなが自由研究をワード化したものを印刷しているので時間がかかる。これを切ってアクリル板に貼り付ける。そうして完成して市内展にだせる。
「あと少しで有馬たちが来るから」
といったところで有馬たち女子3人組が入ってきた。やっと交代がきたのでお昼を食べに行った。
理科室で飯を食ってると中野が独り言のように言ってきた。
「ひまわりってキモくね?」
理科室は1階にあるので外と繋がっている。そこに繋がっているのが花壇なのだ。
「おっといきなりどうした。ひまわりが飯ん中入ってたか?」
「いやそこに咲いてるじゃん」
中野が指をさした先にはひまわりが咲いていた。そして
「ひまわりってさ種の部分がキモいんだよね笑集合体みたいでさ」
と続けた。
「でも、古締先生は好きらしいよ」
タコさんウインナーを食べなから【キモいんだよね話】を切った。

理科室のドアが勢い良く開き有馬たちが全員分の資料を持ってきた。
「ひまわりの花言葉!!なんだっけ?土屋」
有馬が聞いてきた。
「知るか。大体花言葉なんか興味ないし」
《僕》は興味なさそうにつっかえした。
すると有馬が
「あらあらぁ無知なんですねぇ」
と言いながら肩をポンポンと叩いてきた。
やめろと言わんばかりに《僕》は払い除けた。

僕達の班の印刷物をもらいカッターで余分なところを切っていく。いくつか手元が狂って文字まで切ってしまうことがあり、また刷らなきゃいけなくなった。
一人で印刷室にいるとドアが開き有馬が来た。
「ちょーどよかったぁ!ねねこれも印刷して!お願い!」
両手をパチンとしてぺこぺこしてきた。
USBを借りてパソコンを立ち上げた。
「土屋ー 暑いねー アイス買ってよぉ!」
「嫌だ。なら俺にも買え。印刷してあげてるよ?」
「えぇ!ずるい!ならうちが自分でする!」
無理だから笑。と言い、ふたりで笑いながら印刷していた。
「印刷物出るから手を近づけるなよ」
そう言って印刷ボタンを押した。
遅かった。有馬は出てきたばかりの印刷物に手を切ってしまった。紙は非常に鋭利だ。
「いった!血ぃ出てきた!ばんそーこある?」
隣の事務室に行き絆創膏をもらってきて渡してあげた。すると「ん?ほら早く。」
と言ってきた。
「え?つけろと?どこまでお子ちゃまなんだよ」
《僕》はグチグチ言いながらえへへーと言ってる有馬に絆創膏を貼ってあげた。
「土屋の手冷たいねーひんやりしてる…
ちょっとこのまま…」
傷口が痛いのか頭がおかしいのか
《僕》の手を握ったまま「えへへー」とふわふわしてた。
「バカか?すぐ君の体温奪って同じ温度になるよ?」
と《僕》は言った。
「君の体温を奪う! きも!笑」
「キモってなんだよ! 手ぇ握ってる方がよほどなんだけど??」
手を振り払いながら必死に抵抗した
「女の子に手握られてんだよ??あ、照れ隠し? もっとキモいよ!」

────

そう。そうだ。今思えばあれは照れ隠しだったかもしれない。
チラシを見ながらそう思った。




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