第9話

サクラ総合公園フェスタ。
15
2018/09/11 07:53
暑い夏が過ぎて秋がやってきた。
今年の夏はどこも最高気温を塗り替えるほどの猛暑だった。
今日は特別寒いわけではないがその猛暑に比べればずっと涼しい日であった。
「サクラ総合公園フェスタ」はまさに今日行われる。春先に届いたチラシはその参加団体を募るものであったらしく、一昨日には開催のお知らせが届いた。
「ふぁぁぁー くそねみぃ」
珍しく休暇がもらえたので昼まで寝てしまったようだ。横にあるチラシを見て今日が開催日だと知る。
「サクラ総合公園ってこっから15分くらいだよな、、近くに美味しいパン屋あるし帰りによってこようかな。」そんなことを思いながら遅めの外出をした。特に知ってる人はいないので地域のお祭り程度に楽しもうと思った。

『第34回  サクラ総合公園フェスタ』
と大きく書かれた門をくぐって中へと入っていった。
中はいろいろなで店があり特設ステージではのど自慢大会が行われている。
『お兄さん!ケバブ安いよ!カッテコカッテコ』と陽気なケバブ屋に釣られケバブを片手にブラブラとしていた。奥に行くにつれて飲食店はなくなり、雑貨や小物屋さんが多くなった。そのなかであの時の花屋さんが出店していた。
「こんにちは。あの時のひまわりのものです」
少し小さい声で話しかけた。
「あああ!どーも!ようこそ!花屋SEVENです!」
この花屋はSEVENというらしい。店名が書かれたプラカードを手に教えてくれた。何人かテントの中にいて営業しているようだ。店頭には色とりどりの花が売られており、一押し品の中に「ほおずき」があった。
「ほおずき、、」
《僕》は目に入ったほおずきをじっと見つめた。
「ほおずきです!食用には向きませんがね笑」
と花屋の店員が言ってきた。別に食べるつもりはないんだ。すると奥から店長らしき人が
「ほおずきはこの季節にとてもきれいな色をつけます。冬口になると中から実が出てきますので2つの姿が楽しめますよ?」
と《僕》に話しかけた。すごく落ち着いた雰囲気である店長はどこか古締先生見ないな面影があった。
「頂いていいですか?」
《僕》はそう言ってひと鉢ほおずきを購入した。
特に欲しいわけではなかったが買ってしまった。ポイントがついたしまあ良しとした。
家に帰ってほおずきをベランダにおいた。実が出てくるのを楽しみにしている自分がいる。夕焼けに染まる空とほおずきを見ながら《僕》はウトウトし始めた。

─「ほおずきは食わんからな。」──

中学のときにこんな会話をしたのが思い出された。
今思えば食べとけばよかったのかもしれない。




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