パッとモニターが切り替わる。
それは何かの中継映像みたいだった。
私たち3人以外の全員が
白と黒のタイルの部屋にいた。
これひょっとしてチェス盤?
眺めていると、
ニックが何かを言って全員がこちらを向いた。
彼が指を鳴らす。
瞬間、そのタイルの部屋に飛ばされた。
もう最後だったことに驚かない。
敦くんが聞き返すのと同時に、
床から駒が出てきた。
全員が駒に乗り込む。
クイーンは馬とかじゃないから、
きちんとスペースがあった。
瞬時にチェスのルールが理解出来た。
何十回とやっていて、慣れているような感覚。
全員が同じ表情をしていた。
それを思って考えると、
最弱のポーンが乱歩さんで、
その次に弱いナイトが太宰さんなのは
明らかに仕組まれている。
そして私達は、最強のクイーン。
この中で1番馬鹿だと言いたいらしい。
强間違っていないのだけれど。
谷崎、って言うのは谷崎兄妹2人の事指してます
ポーンはスタート位置からだと2マス進めます。
相手が斜め前にいた場合はそちらに進めます。
作者:突如出現してしまいすみません。
知らない人の方が断然多いと思うので、
きちんとした試合実況はしません。
チェス好きな人すみません。
みんな焦りはじめていた。
一向に勝負がつかないことも原因のひとつだが、
1番の原因は太宰さんが倒されたこと。
私がミスして倒されそうになったのを、
太宰さんが囮になったのだ。
本人は嬉しそうだったけど。
チェスの駒に倒されるのも悪くないとか。
どうやらこのシステムは異能では無いらしく、
今の所太宰さんは血みどろで嬉しそうに寝ている。
100%、私の所為だ。
あっちには人なんて乗っていない。
つまり、この勝負は私たちの不利益でしかない。
ただ、相手を殺すためだけに造られたゲームだ。
これを攻略するにはどうしたらいいか。
このゲームから脱線するしかない。
最初から意識していた事だが、
実はまだニックと1度も会話していない。
いざという時、異能を使えるかと思ったからだ。
そのいざ、今じゃないか。
何か聞こえてきた。
「どうして俺がこんなことしなきゃいけない」
「八雲に弱味を握られたばっかりに」
「此奴らが早く死ねば」
びっくりした。
いつもの口調は自然体じゃなくてつくってたのか。
八雲に弱味を握られたと言っていたな。
これはもう少し聞く必要がありそうだ。
「俺だって進んでこんな異能持ったわけじゃない」
「俺は悪くない」
「どうしてあの時俺はあんな話を読んだんだ」
訳分からん。
ただ彼の異能は本と関係しているらしい。
そして其れを誰にも知られてはいけない。
そういうことか?
それでどうしてこれに至るんだよ。
あーもうどうしよ!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!