第28話

#26
2,167
2019/07/26 11:10
パッとモニターが切り替わる。

それは何かの中継映像みたいだった。
私たち3人以外の全員が
白と黒のタイルの部屋にいた。

これひょっとしてチェス盤?


眺めていると、
ニックが何かを言って全員がこちらを向いた。

彼が指を鳴らす。



瞬間、そのタイルの部屋に飛ばされた。
ニック・二ーク
ニック・二ーク
オーケー、これで皆様お揃いですね
もう最後だったことに驚かない。
ニック・二ーク
ニック・二ーク
それでは只今より
魔法使いのチェス
を行わさせて戴きます
中島敦
中島敦
魔法使いのチェス?
敦くんが聞き返すのと同時に、
床から駒が出てきた。

ニック・二ーク
ニック・二ーク
皆様はこちらに乗っていただき、
チェスをしてください
全員が駒に乗り込む。
クイーンは馬とかじゃないから、
きちんとスペースがあった。
ニック・二ーク
ニック・二ーク
ルールを把握していない様では
チェスもまともに出来ませんので、
こちらから送り込みます
瞬時にチェスのルールが理解出来た。
何十回とやっていて、慣れているような感覚。

全員が同じ表情をしていた。
それを思って考えると、
最弱のポーンが乱歩さんで、
その次に弱いナイトが太宰さんなのは
明らかに仕組まれている。

そして私達は、最強のクイーン。

この中で1番馬鹿だと言いたいらしい。
あながち間違っていないのだけれど。

谷崎、って言うのは谷崎兄妹2人の事指してます
ポーンはスタート位置からだと2マス進めます。
相手が斜め前にいた場合はそちらに進めます。
作者:突如出現してしまいすみません。
知らない人の方が断然多いと思うので、
きちんとした試合実況はしません。
チェス好きな人すみません。
みんな焦りはじめていた。

一向に勝負がつかないことも原因のひとつだが、

1番の原因は太宰さんが倒されたこと。
私がミスして倒されそうになったのを、
太宰さんが囮になったのだ。

本人は嬉しそうだったけど。
チェスの駒に倒されるのも悪くないとか。

どうやらこのシステムは異能では無いらしく、
今の所太宰さんは血みどろで嬉しそうに寝ている。



100%、私の所為だ。




あっちには人なんて乗っていない。

つまり、この勝負は私たちの不利益でしかない。

ただ、相手を殺すためだけに造られたゲームだ。



これを攻略するにはどうしたらいいか。

このゲームから脱線するしかない。
最初から意識していた事だが、
実はまだニックと1度も会話していない。

いざという時、異能を使えるかと思ったからだ。

そのいざ、今じゃないか。
あなた
あなた
異能力「ワイルドフェル屋敷の人々」
何か聞こえてきた。




「どうして俺がこんなことしなきゃいけない」

「八雲に弱味を握られたばっかりに」

「此奴らが早く死ねば」



びっくりした。
いつもの口調は自然体じゃなくてつくってたのか。
八雲に弱味を握られたと言っていたな。
これはもう少し聞く必要がありそうだ。

「俺だって進んでこんな異能持ったわけじゃない」

「俺は悪くない」

「どうしてあの時俺はあんな話を読んだんだ」






訳分からん。
ただ彼の異能は本と関係しているらしい。
そして其れを誰にも知られてはいけない。
そういうことか?

それでどうしてこれに至るんだよ。


あーもうどうしよ!!

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