あれ…?私誰かに呼ばれてる。
ゆっくり目を開けると、
私の頬にそっと手を添えて微笑む太宰さんがいた。
おどけたように言うが分かっていた風である。
ふと周りを見渡すとここは病院だ。
与謝野先生の治療じゃない所に太宰さんの配慮を感じる。
きっと乱歩さんから事情聞いたんだろうな。
ポオ君が居ないのは人見知りが発動したからだろう。
1人知らない人が居ても辛いだろうに、
2人に増えたとなれば彼は逃げるに決まっている。
頭痛でこんな事になったのを忘れる程回復したらしい。
そういえば、
なんであんなタイミングで頭痛がしたのだろう。
というか本当にあれは頭痛だったのか?
物理的に引っ張られたような感覚だった気が…
驚きすぎて字体が歴史的になってしまった。
てかどういうことだ。
私普通の人間なのに。
こっちの人間全員が異能力者な訳では無い筈だし、
私は物語に登場するなら一番最初に死ぬタイプだ。
しまった、物語の悪いクセである。
とか言うのはこの世界のタブーだろうか。
口角を上げた太宰さんの目は笑っていない。
あぁ怖い。でも美し((殴
語尾に♡が付きそうになる。
じゃあいいかも、なんて考えたりもするが
私の方の精神が持たない。
鼻血が止まらず多量出血で死ぬ可能性も0では無い。
そう言って乱歩さんは目を光らせた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!