じゅわあああああっ。
何かの焼ける音がして、
ふんわりと美味しそうな匂いが漂う。
谷崎さんの女子力に惚れ惚れしながら隣を見ると、
谷崎さんの枕を抱きしめて幸せそうに寝ている
ナオミさんがいた。
とても満足気に寝言をむにゃむにゃ言っている。
どんな夢を見ているかは少し恐ろしくて想像し難い。
そんなこんなで武装探偵社に来た。
少し落ち着いて、
再び時が流れようとしていた時。
ドッカァン!!
探偵社のドアが吹っ飛ばされた。
皆が呆然とする中、その奥から現れたのは。
そういってガッチガチに固まる私の前に来た。
ついには至近距離まで来てしまって、
仄かに香水みたいな匂いがする。
ドサッ。
私は耐えきれず意識を遠く彼方へと飛ばした。
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ここは武装探偵社の医務室だ。
隣には太宰さんと与謝野先生がいて、
ドアの向こうには影が見える。
そちらを伺うように首を動かすと、
太宰さんがにやっ、と笑った。
聞き返した時にはもうドアを開けていて、
慌てて目を瞑りじっとする。
…ん?
何だこの茶番。
いや、今のところ国木田さんにとっては茶番ではない。
彼はそれどころでは無いだろう。
取り敢えず死人のフリをしろと?
真逆与謝野先生まで乗るとは思わなかった。
言えない。
1推しを肉眼で拝んでしまってぶっ倒れたなんて、
2推しに言えるわけ無いじゃん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。