第4話

#4
4,090
2019/07/04 10:59
あなた
あなた
武装探偵社ぁ!?
思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
太宰治
太宰治
確かに、それは名案だ
あなた
あなた
太宰さんまで!!
でも正直嬉しすぎる。


太宰さんは推しキャラなのだ。
太宰さんが私の背中を押すなら世界一周出来そうな程。


その太宰さんに今、後押しされている。


後押しされているけども。

武装探偵社に入ることは、
果たして世界一周より容易なのだろうか。
太宰治
太宰治
武装探偵社に入ることが出来れば、
無理な生活を強いられる事は無い
あなた
あなた
確かに…
社長である福沢諭吉さんは「人上人不造ヒトノウエニヒトヲツクラズ」という異能力で、
部下である異能力者の異能をコントロール可能にする。

で、体が異能に耐えられるようになるという話だ。
あなた
あなた
…少し、1人の時間をください
これは、
私の武装探偵社が好きだという想いだけでは
荷が重すぎる。

今一度、1人でじっくり考えたかった。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
分かった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
病院廊下にて
太宰治
太宰治
乱歩さん、隠していいんですか?
彼女はいずれ気付くでしょう
江戸川乱歩
江戸川乱歩
人は自分で導き出した答えを信じやすい
太宰治
太宰治
その導き出した答えが、
当人にとって不幸だったら?
太宰治
太宰治
責任は私達にあるのですよ
太宰治
太宰治
私とて、
異能を3つも持つ異能力者など聞いた事が無い
太宰治
太宰治
それに、嵐が丘という異能力、
太宰治
太宰治
あれは芥川の異能に非常に似ている
江戸川乱歩
江戸川乱歩
…だから芥川のように危険な人物になると?
太宰治
太宰治
あの異能がし制御しきれず暴走したら…
江戸川乱歩
江戸川乱歩
ヨコハマは壊滅するだろう
太宰治
太宰治
尚更武装探偵社に入る必要がある
あなた
あなた
あの…
2人
!?
あなた
あなた
すみません、話、聞いちゃいました
江戸川乱歩
江戸川乱歩
何処まで聞こえていた?
あなた
あなた
…私、異能3つもあるんですね。
太宰治
太宰治
太宰治
太宰治
そうだよ。
あなた
あなた
説明して頂けますか?
自分の事だし、自分で知っておかないと
江戸川乱歩
江戸川乱歩
ず、2つ目
江戸川乱歩
江戸川乱歩
嵐が丘
あなた
あなた
さっき言っていた異能ですね
江戸川乱歩
江戸川乱歩
そうだ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
話を聞いていたなら分かると思うが、
芥川に類似している異能だ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
君、頭痛がしたと言ったね
あなた
あなた
はい
まぁ言ってはいない。
勝手に推理したのだろうと受け流した。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
あれが異能によるものだ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
嵐が丘は、
髪の毛を自由に動かせる
あなた
あなた
成程、それで芥川ですね
江戸川乱歩
江戸川乱歩
そうだ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
あともう1つの異能
江戸川乱歩
江戸川乱歩
ワイルドフェル屋敷の人々だ
あなた
あなた
えっ、ワイルド…?
太宰治
太宰治
ワイルドフェル屋敷の人々
江戸川乱歩
江戸川乱歩
この異能は、
会話をした事の無い人とのみ、
心を繋げる事ができる
あなた
あなた
??
江戸川乱歩
江戸川乱歩
すれ違った人、
傍に居たものの実際喋らなかった人等、
対象は様々だ
あなた
あなた
心を繋げる、とは?
太宰治
太宰治
人は夫々それぞれ、考えている事がある
太宰治
太宰治
だが誰にも知ることはできないだろう?
乱歩さんはちょくちょく私の心を読んでくるが。

あれはいいのだろうか。

まぁ置いておこう、きっと読んだのではなく推理だ。
あなた
あなた
はい
太宰治
太宰治
それを解放できるのがその異能だ
江戸川乱歩
江戸川乱歩
君の考えていることを相手に伝える事も可能、
相手の考えていることを知る事も可能だ
あなた
あなた
なかなか便利ですね?
江戸川乱歩
江戸川乱歩
そうだな
江戸川乱歩
江戸川乱歩
でも3つの異能全てを制御出来ないと…
乱歩さんが口をつぐむ。

分かっている。
其れは耐えられない程の苦痛だろう。

肉体的にも、
精神的にも。
あなた
あなた
分かりました
あなた
あなた
制御出来ないと
皆さんに危険が及ぶ訳ですよね?
太宰治
太宰治
そうなるね
あなた
あなた
…なら、武装探偵社に入らせてください
この世界に来てから、
私は何も出来ていない。

おろか、迷惑ばかり掛けてしまっている。

これ以上、誰かに迷惑を掛ける事は出来なかった。


私は辛くてもいい。
誰か1人でも幸せにできるなら。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
…よし、分かった。
社長に連絡しておくから、
こっちに来る準備をしろ
あなた
あなた
はい
太宰治
太宰治
私は彼女を手伝います
江戸川乱歩
江戸川乱歩
任せたぞ
太宰治
太宰治
分かりました
正直言って、まだ怖かった。
あの危険でも平和な世界を、私は壊さないだろうか。


でも、後悔はしない。
後悔するような未来にしない為にも頑張らなければ。
あなた
あなた
…あれ?
今気付いたのだが、
私は太宰さんに触れられていない。

いつから?

1人にしてくださいと頼んだ時、
もう離していたでは無いだろうか。

どうして暴走しないのだろう。

そもそもコントロールできる異能だったのか?
それでは先程の乱歩さんの説明と辻褄が合わない。
その代わり。
私の髪に、少し違和感を感じた。
あなた
あなた
ん?
見れば、白い布のようなもので私の髪が結んである。



…真逆。
あなた
あなた
太宰さん…之、何ですか
太宰治
太宰治
私の包帯
あなた
あなた
きゃあああああ
もう最早なんで悲鳴を上げているのか分からない。

太宰さんの包帯を身につけている嬉しさ?

単純に変態への恐怖?


取り敢えず興奮状態もいい所である。
太宰治
太宰治
まぁ落ち着いて
太宰治
太宰治
私の包帯に私の異能が宿ったようだ♪
あなた
あなた
どーゆう事ですか!!
―病院に甲高い声が響き渡ったのだった。

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