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第11話

まどろみ/残された者同士
あなた

ん…

私の目に、天井が映った。

ぱちぱちと目を瞬かせると、ぼんやりしていた目の前がはっきりした。

ハンジ
ハンジ
ん、起きたみたいだね
あなた

…ハンジ、さん

身体が重たい。


全身が鈍い痛みで覆われている。
ハンジ
ハンジ
調子はどうだい?
あなた

身体が、痛いです…

ハンジ
ハンジ
ははは、そりゃそうだよね…
ハンジさんはわしゃわしゃと頭をかいて、苦笑いをした。
ハンジ
ハンジ
エルヴィンが君と話したいみたいだよ。正確に言うと私もね
あなた

…はい

ハンジ
ハンジ
だけどその様子じゃ無理そうかな
ハンジ
ハンジ
ゆっくり休んで。水を持ってくるから待っててね
あなた

ありがとうございます

じゃあ、と手をひらりとあげ、ハンジさんは部屋から出て行った。





それにしても痛いなあ。

今、何時なのか、何日経ったのか分からないけど、怪我した当日より痛い。

骨折れてないのかな…。






そよ風が吹いて、横にあるカーテンが天井を遮った。


まぶしい。


お昼頃なのかな。


起き上がろうとするけど、痛くて力が入らない。


仕方なく、私はそのままの姿勢で諦めた。









そう言えば、リヴァイ兵長はどうなったんだろう。


無事に帰還できたのかな。












カーテンの奥から何人かの声が聞こえて来た。

それがトロスト区の日常のようで、まどろんだ。


どうせ街のみんなが話すことなんて愚痴や世間話みたいな、他愛もない話なんだ。

通りの角を曲がれば、パンの香りが漂って。

物を売るみんなの威勢の良い声が響く。

よく話しかけてくれる人達はにっこりと笑っていて。










涙が伝った。





戻りはしないあの日常。








せめて今はこのまどろみの中で、眠っていよう。




























ハンジ
ハンジ
あれ、寝ちゃったか…
リヴァイ
リヴァイ
仕方ねぇだろ
ハンジ
ハンジ
そういえばこの子さ、この怪我でよく生きてたよね。どうなってこうなったのか知らないけどさ
リヴァイ
リヴァイ
嫌味か
ハンジ
ハンジ
いやいやほんとに。この打ち方じゃ肺が潰れててもおかしくなかったからね
リヴァイ
リヴァイ
…そうだな
ハンジ
ハンジ
ほんと、リヴァイが見つけてなかったらどこにこの子を連れてくつもりだったんだろうね、あの巨人は



リヴァイは、名前も知らない少女の傍に寄る。





リヴァイ
リヴァイ
…俺が見つけてなかったら、こいつはこんな風に泣くこともねぇんだろうな
ハンジ
ハンジ
…どうしてだい?




喰われる運命だったはずのこいつの終わりを、俺が救ったのか。


こいつは泣いている。

巨人と死への恐怖を抱いて、これからを生きて行かなければならない。





あなた
あなた
「生きてて、よかったです……」




こいつに待つのは、どんな運命かなど分からない。


俺はただ、喰われそうなこいつを放っておくことはできなかっただけだ。





だが、兵士でもない、ただの襲撃されたトロスト区の住民を、調査兵団の「所有物」にしようと動いていることは事実だった。






少なくともこいつにとって生きててよかったと、心から思うような運命には転がらないだろう。



ハンジ
ハンジ
リヴァイー?
リヴァイ
リヴァイ
…さあな



俺は少女の涙を指で拭った。





残された者はいつも残酷だ。




そう思った。

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姫乃
姫乃
受験を控えてますので、気分転換に書いています。 不定期ですがよろしくお願いします。
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