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第4話

赤い
私の落ちかけたその時、巨人は私をもうひとつの手に受けて、掌の上に置いた。


あなた

…あ

私はそこにペタリと座り込んでしまった。


しかし、巨人の歩く時の振動は大きく、巨人の手から落ちそうになる。

この高さから落ちたら、それこそ逃げるどころか1発で死んでしまう。



どうすれば…。
あなた

……、っ…







私は巨人の手に身を委ねた。

丸太のような巨人の太い親指にしがみつき、今度は落ちないようにと必死だった。





巨人に頼るなんておかしなことだ。

ありえない。

だけど、今、私が喰べられていないということの方が奇跡。





この巨人はまっすぐ外門へと向かっている。

周りの巨人の数も多くなり、その巨人たちの身体中血塗れだ。

地面も、家も、赤く染まっていて、それが全て人だったのだと思えば思うほど、吐き気と悪寒がした。
お、おい…なんだありゃ…
あなた

私は声の主を探した。
あなた

(あれは…!)

右手の屋根の上に、長身の男の人が立っている。

腰につけているあれは立体機動装置…。
あなた

兵士だ…っ

兵団ではないらしく、背中と腕章は訓練兵のブレードの模様だった。


彼は私を驚いたように見つめて、動かない。




今、助けを求めなきゃ…!
あなた

た…っ

「助けて」私はそう言おうとして、すぐにやめた。

ふと巨人を見た時、目が合った。

私を「目だけ」で見ていた。






喰おうとしている訳じゃないかもしれない。


だけど、その目は先程の私の心までも探るようなもので、私はやはりその瞳を逸らせないのだ。



私は助けを求めるのをやめた。


どちらにせよ、彼はもう見えない。

追ってくれる気配もない。


兵士と言えど、所詮私たちと一緒の人間。


5年前に襲撃されたシガンシナ区の住民以外、誰も巨人を見たことがない。

兵士は巨人討伐の訓練をどれだけしようとも、それこそ調査兵団じゃなきゃ巨人なんかに会うことの方が確率が低い。

動けないのも無理はない。




だけど、本当は助けて欲しかったような、気持ちだってある。









私は巨人の指にしがみついたまま、目を閉じた。


これ以上何も見たくなかった。

抵抗しても巨人たちの前では無力で、非力なのだから、もう諦めてしまおう。


これから起こる全てを巨人の上で受け入れるしか、方法などない。



ドシン…ドシン…という音と共に揺れる身体。

遠くから聞こえる悲鳴。


目を閉じると、耳の情報が多く入ってきた。




怯えていた私はどこに行ったのだろうか。

今はもう何も考えられなかった。












だけど、私はぽつりと言った。
あなた

どこへ…向かうの…?

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姫乃
姫乃
受験を控えてますので、気分転換に書いています。 不定期ですがよろしくお願いします。
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