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第3話

捕食(※軽く血の表現有)
巨人
ウウウ
あなた

ひっ…

巨人が私の近くまで顔を近づけた。

私は咄嗟に目を閉じる。

巨人の深い呼吸が鼓膜を震えさせる。
あなた

…っ、…っ

心臓がバクバクと音を立て、無理やり止めている呼吸が苦しくて、途切れ途切れに息をした。
巨人
ふー…ふー
どうせ喰べるのならば早くしてくれ。

いっそ、こんなにもったいぶらずに一息に殺してくれよ。





私は既にこう思い始めていた。



すると、私の身体が揺れた。
あなた

目を開けると、視界が大きく揺れだした。

巨人が歩きだしたのだ。
あなた

…どうして…?

私を喰べなかった。

どういうこと?

巨人は人間を前にしたら、必ず喰べるはず。

だって、さっきの教会でだって、出てきた女の人を見つけた瞬間、鷲掴みにして口に頬張っていた…。

それに、教会の屋根を壊して、その中から人を掴んで、まるで箱の中に入った選りすぐりの菓子を食べるように、うっとりさせて喰べていたのに。



なのに、どうして?

この巨人は他の巨人と何かが違うの?



街の人
街の人
ひぃぃいい…!
あなた

…あっ…!

ふと、見知った姿を見つけて、私は声をあげた。
街の人
街の人
こっちにこないでえええ!!
あなた

おばさん…!

あれはこの地区で服屋をしているおばさん。

その店でよく話をしていた。




そのおばさんが目の前で腰を抜かして、一体の巨人の前で座りこんでいた。
街の人
街の人
いやああああ!
あなた

おばさん!!

私は咄嗟に叫んでいた。

その声に気付いたおばさんが上を見上げて、私と目が合った。
あなた

おばさん!逃げてぇ!!

街の人
街の人
あ、あ、あなた……?
おばさんは驚いた顔で私を見て、口を開けた。




ああ、私は…選択を間違えてしまった。



これはもう…どうしようもない。






グシャッ!



巨人がおばさんの身体に喰らいついた。

そして、巨人がその頭を上げる。


そこに残っていたのは真っ赤に染まったおばさんの下半身だった。
あなた

あ、ああ…

私は馬鹿だ。

そんなのおばさんが逃げられるはずないのに…。

まして私は巨人に掴まれているのに、そんな私が声をあげて、おばさんの意識を向かせてしまった。

そのせいでおばさんが余計に動けなくなった。


逃げられる可能性なんてゼロに等しいけど、それでも私は、おばさんの命を「奪った」んだ。
あなた

はあ、はあっ…!

気持ち悪い。




掴まれていて、息もしづらい。





巨人はまっすぐ外門の方角に進んで行く。








嫌だ。

離して。

そっちには、巨人がたくさんいる。


たくさんの「人」がいる。




行きたくない。



もうこれ以上、見たくない。
あなた

はなして!!

私はもう一度もがいた。

それで死ぬなら仕方ない。



だけど、私は死なない自信があった。

喰べられない自信があった。

あなた

はあっはなしてぇ……!

私は巨人の指を押しのけたり、叩いたりした。

巨人
ウウウ…
すると巨人はゆっくりと私を掴む指を緩めた。
あなた

(…!おちるっ!)

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姫乃
姫乃
受験を控えてますので、気分転換に書いています。 不定期ですがよろしくお願いします。
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