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第15話

審議
俺は一体、どういう状況なんだ…。




牢獄から出られたのはいいけど、この手錠だってついたままだし…。


何よりハンジ分隊長と一緒に俺を迎えにきた、もう1人の調査兵団の兵士に、俺、めちゃくちゃ嗅がれてる…。
ハンジ
ハンジ
あぁ悪いねエレン、そいつはミケ。どういう訳か、初対面の人の臭いを嗅いでは…
ミケ
ミケ
フッ
ハンジ
ハンジ
鼻で笑うんだー
エレン
エレン
は、はぁ
変人なのか…?


調査兵団はよく分からない…。





そんなことを思っていると、大きな扉の前でハンジ分隊長が立ち止まった。
ハンジ
ハンジ
お、着いちゃったね。

いいかい、エレン。今から何が起こるか、分からないけどさ…頑張るんだよ!
エレン
エレン
え…?
バンッ……








エレン
エレン
審議所……?
俺は審議所の地下にいたのか。
ザックレー
ザックレー
じゃあ、始めようか













ーーーーーーーー








待ってくれ…!


俺は、こんな所で終われないんだ…。
















エレン
エレン
だいたいあなた方は…
これ以上はまずいか…っ。
エレン
エレン
巨人を見たこともないのに、何がそんなに怖いんですか…っ



























いいや、言ってやる。





思ってること全部…っ。





エレン
エレン
力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか…っ。生きるために戦うのが怖いって言うなら、力を貸してくださいよ…!
エレン
エレン
この…腰抜け共め…っ
ナイル
ナイル
なに…っ
エレン
エレン
いいから黙って…全部俺に投資しろおぉ!!






言ってしまった。
ナイル
ナイル
構えろぉっ!!



ガチャッ!!
エレン
エレン
は…!







ガンッッ!!!




リヴァイ
リヴァイ
んっ!!
エレン
エレン
がっあ!!!





…は?



俺、今…。









ガンッ!
エレン
エレン
ゔぁあ!!
バンッ!!
エレン
エレン
はぅ…があっ!!






リヴァイ、兵長…?
リヴァイ
リヴァイ
これは持論だが、躾に一番効くのは痛みだと思う。今お前に必要なのは、言葉による「教育」ではく「教訓」だ
エレン
エレン
ぅう…
リヴァイ
リヴァイ
しゃがんでるからちょうど蹴りやすいしな
ナイル
ナイル
ま、待て…リヴァイ
リヴァイ
リヴァイ
なんだ
ナイル
ナイル
…危険だ



リヴァイ兵長が俺の頭をぐっと引き上げた。


リヴァイ
リヴァイ
何言ってる。お前ら、こいつを解剖するんだろ?
ナイル
ナイル
…っ
リヴァイ
リヴァイ
こいつは巨人化した時、20体の巨人を殺したらしい。敵だとすれば知恵がある分厄介かもしれん。
…だとしても俺の敵じゃないがな
リヴァイ
リヴァイ
だがお前らはどうする。こいつをいじめた奴らもよく考えた方がいい。
本当にこいつを殺せるのか。
ザックレー
ザックレー
エレン・イェーガーの管理か…できるのかリヴァイ
リヴァイ
リヴァイ
殺すことに関しては間違いなく。問題はむしろ、その中間がないことにある
エレン
エレン
……ぁ
ザックレー
ザックレー
ふん……結論はでた








終わったのか?






ザックレー
ザックレー
入りたまえ
エレン
エレン
…?



審議は、俺だけじゃ…ないのか?








ギッ…






後ろを向くと、扉の前に1人の少女が立っていた。







ザワ……



民衆
あの少女…
民衆
あの子だ…
傍聴者たちがざわめいている。


少女は歩いてこちらに近づいてくる。







カツ…カツ…





俺の右手に少女が立ち、ゆっくりとしゃがむように礼をした。


その礼で着ている長いスカートの裾がふわりと広がって、波打った。


どこかの貴族のような挨拶だ。






礼をした後、少女は両膝を床に付けて跪いた。





あれ…。


この少女を、この感覚を、俺はどこかで感じたことがある気がする。




もう、だいぶ昔の事だと思う。



モヤがかかって思い出せない。




あなた
あなた
あなたと申します




一体、なぜ俺と一緒に審議に掛けられるんだろうか。
ザックレー
ザックレー
うむ、あなたくん。君についてだが…君は、先日のトロスト区襲撃の際、一体の巨人に捕獲されたが、補食されずに生き延びた、のだね
あなた
あなた
はい
エレン
エレン



どういうことだ…?


捕食されずに生き延びたって…。


ザックレー
ザックレー
君は、巨人に捕らえられた後、ウォール・マリアに連れて行かれ、そして壁外調査中だった調査兵団に遭遇し、救助された。このことに間違いはないかね
あなた
あなた
間違いありません
ザックレー
ザックレー
君の状況を聞くと、私は巨人が君を喰わなかったという点がどうも引っかかっる。もう聞いている事だと思うが、兵団の中には君を巨人の仲間だと指摘する者達も存在する。
あなたくん、反論はあるか




人を喰わない巨人なんて、聞いた事がない。


あなた
あなた
私は、トロスト区に住むただの住民です。巨人とは全くの無関係であり、事実無根です。
ザックレー
ザックレー
では、私の手元に記載されている、君が巨人を意思の疎通を行った、という点に関してはどうかね
あなた
あなた
…意思の疎通、と言うよりは、巨人が人の言葉を話しているのを目撃しました
ザックレー
ザックレー
どのような言葉だい
あなた
あなた
なんだ…?

少女が急に黙ってしまった。




少し考えるように俯き、その口を開いた。



あなた
あなた
私の…名前を、呼びました
ザワッーー!!
民衆
巨人の仲間なんだ…
民衆
それが証明しているじゃないか…
ザックレー
ザックレー
静粛に!…ここに書かれているのは『契約のメタトロン様』ということだが、君はメタトロンという人物でもあるのだね
あなた
あなた
私の覚えている範囲では、幼い頃に父と母が生きている時にはそう呼ばれていたと思います
ナイル
ナイル
ザックレー総統!巨人が彼女の昔の名を知り、その名を呼んだとなれば、巨人と繋がりを持っているということは明確であります!!
民衆
そ、そうだ!!
ナイル
ナイル
エレン・イェーガーは既に一部事実を公表しており、その上でリヴァイが管理するということには納得致しました!しかしエレン・イェーガーの存在は、彼女が彼のように巨人になることもあり得させることです!事実確認が行われていない今だからこそ、憲兵団は早急に彼女を地下に監禁することを主張します!!
あなた
あなた


俺と、同じように巨人の仲間だって疑われている。



だけど、俺にはどうすることも出来ない。




彼女がどういう存在なのかも知らないし、何より自分が巨人化できる人間である以上、俺が何か言ったところで、その言葉に反応してくれるとも思えない。






だけど、彼女は取り乱すことも無く、至って冷静な表情だ。



ザックレー
ザックレー
彼女を保護した調査兵団はどう考える
エルヴィン
エルヴィン
…調査兵団は、あなたについて、意見はありません
ナイル
ナイル
…な…?
ザックレー
ザックレー
…理由があるのか
エルヴィン
エルヴィン
彼女は一般市民であり、この審議で何かを決定しようとも兵法は適用されないというのが、実際のところでしょう。
ザックレー
ザックレー
ほう…そうでるか
エルヴィン
エルヴィン
ただ、一言申しますならば、彼女を調査兵団の兵士として迎え入れ、エレンと同じように監視を行うというのが、人類にとっても彼女にとっても最善の策かと考えますが
ナイル
ナイル
兵士だと…っ?
ザックレー
ザックレー
あなたくん、兵士となることは承知の上か
あなた
あなた
…私には、自らの潔白を証明することができません。今の私には、何を選択しても死しか残っていない。
あなた
あなた
なら私は…私に残された道は、兵士になり、この身と命を人類に捧げ、巨人と戦い…そして死ぬことです。
それでしか、私の疑いは晴れない、そう思います。
ナイル
ナイル
エレン
エレン



あたりが静まり返った。



俺は、もう彼女の疑いなど晴れたも同然だと思った。



彼女の迷いのない声色と、言葉。




自分の宿命を背負う覚悟のある姿に、何かを返せる人などいなかった。





ザックレー
ザックレー
…君の気持ちはよく分かった。
ザックレー
ザックレー
最後にひとつ聞こう。リヴァイよ、彼女を保護したのはお前だな
リヴァイ
リヴァイ
ああ
ザックレー
ザックレー
彼女を人類の敵だと思うか
リヴァイ
リヴァイ
ザックレー総統。あんたは大事な事実を言い忘れた。話を余計にこんがらがせやがったな
ザックレー
ザックレー
ふっ
リヴァイ
リヴァイ
こいつは、巨人に喰われかけた。こいつが叫んで助けを求めなければ、確実に喰われていただろうな。俺はこいつを握っていた巨人の手首を切り落とした。だが、その巨人は俺に一切注意もせず、あなたを喰おうと必死だった
リヴァイ
リヴァイ
巨人が共食いをする場面を見たことがあるか?俺はない。それが証拠だろ
ナイル
ナイル
ど、どういうことだ
リヴァイ
リヴァイ
わからねぇのか、ナイル。こいつが巨人の仲間なら、共食いをしない巨人がこいつを喰おうとはしない。
リヴァイ
リヴァイ
エレンは巨人化しても捕食対象として狙われたらしいな。それとおんなじだ。エレンが巨人化しても巨人に狙われたのは、巨人が人間と認識したからだ。
エレン
エレン
ぁ…
そうか…。


巨人化できる俺は、巨人に喰われかけていたらしい。



なら、彼女は…。



リヴァイ
リヴァイ
ましてあなたは巨人化しない。人間のままのこいつが巨人に喰われかけたんだ。それは、こいつが人間だってことだろう。
ザックレー
ザックレー
それがお前の考えだな…。あなた君
あなた
あなた
はい
ザックレー
ザックレー
君はその時のことを覚えているかい
あなた
あなた
いいえ…リヴァイ兵士長からは、その時の私は瀕死の状態だったと聞いています
ザックレー
ザックレー
…決まった
ザックレー
ザックレー
君は兵士ではない。今回のトロスト区襲撃の被害者だ。多くの惨劇を目の当たりにし、その身と心に深い傷を残したことだろう。

人類の敵など、誰が認めようか
ガン!!
ザックレー
ザックレー
エレン・イェーガーは調査兵団に任せよう。また、あなたについては調査兵団が、彼女の意思を尊重するように
ナイル
ナイル
ザックレー総統!
ザックレー
ザックレー
異論は認めぬ。全ての権限と責任は私にある
あなた
あなた
お気遣いに感謝致します
ザックレー
ザックレー
うむ






終わった。





長い、審議が終わった。





俺は意識が少し朦朧としているが、ほっとした。





彼女も、その場に座り込んでいた。






リヴァイ
リヴァイ
あなた
あなた
あなた
…ぁ




リヴァイ兵長が彼女に手を差しのべていた。



あなた
あなた
ありがとう、ございます…






その光景が、すごく…脳に焼き付くように記憶された。




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姫乃
姫乃
受験を控えてますので、気分転換に書いています。 不定期ですがよろしくお願いします。
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