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第7話

契約と自由の翼
巨人
ウ''ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!
あなた

ひっ…!

突然、巨人が叫び、私を握る手が落ちて行く。

私の視界に、立体機動装置を操り、回転しながら飛ぶ調査兵団の人が1人見えた。






何かおかしい。

落下速度が、はやすぎる。



もしかして今、この人は横切った勢いで手首を斬った?







ああ、これはちょっとやばいかも。











バンッッッ!!
あなた

かはぁっ…っ!!

勢いよく地面に身体を打ちつけた。

巨人の手が下にあるとは言え、衝撃は大きかった。

肺の空気が一気に外に出て、背中と後頭部を打ちつけた痛みが鋭く走った。
あなた

あ…っ…はっ…




息が吸えない。


どうして?




巨人
ウウウウウ
巨人の声が聞こえる。

曇ったように遠くに聞こえる。


霞んだ目に、かすかに顔の輪郭が見えた。
巨人
ケイヤクノ…メタ…トロン…サマ…
また、だ。



また何かを話してる。





『契約の、メタトロン様』。





一体どうして?

巨人
ガアアア!!
巨人が口を開けたのがかすんで見える。

私は為す術もなく、倒れていた。

あなた

…っは…っあ…

息が出来ない。

身体が全く動かない。

死んじゃうのかな。




チッ…
ザシュッ!!!
巨人
ガアアァァ……
あなた

…?

巨人の大きな口が見えなくなった。


調査兵団の人が倒したの?






ああ、だけど。




意識が遠くなる。










おい、生きてるか
あなた

……っ

誰だろう。

目が見えない。


苦しい。

息が吸えないの。





おい
不機嫌そうな声。

くぐもって聞こえる。

…お前…
声の主が私の上半身を起こした。
あなた

ぁ…

息、できるか
あなた

…っ…

私は小さく首を振った。


霞む目を凝らして、声の主の顔を見つめた。

黒髪の男性だということしか分からない。



突然、その人が私の顔に近づいて来た。
あなた

…っ…んっ

そして、口に何かが当たった感覚がした。


痺れてよく分からないけど、温かいもの。







次いで、私の喉が膨らんで行く感覚が来た。

それはだんだんと身体の奥へと入っていき、やがてそれが苦しさとなった。
あなた

ケホッ…ケホッ!!

膨らんだか
あなた

はあっはあっ…!

私の肺に空気が入って行く。

身体が熱くなって、生を実感する。


霞んでいた目も、くぐもって聞こえていた耳も、だんだんと元に戻っていた。


そして、ぶつけた背中の痛みも強くなった。
よく生きてたな
あなた

…ぁ…

トロスト区から来たのか
あなた

…は、い

巨人が侵入したのか
あなた

…コクン

そうか…
彼はそういうと、私を抱き上げた。
あなた

あっ…

壁外じゃ馬に乗らねぇと死んじまう。ましてでけぇ荷物を抱えたままなら尚更な。
あなた

…ごめ…なさい…




立体機動装置だって重たそうなのに、私を抱き抱えて、大丈夫なの…?


おそるおそる顔を見ると、案外綺麗な肌に、切れ長の目が鋭く、光をたたえている。

まるで冷たいナイフのような表情の中に、強い輝きがあるようだ。



彼は馬を呼び寄せると、先に私を馬に乗せた。

初めて乗るので、どこを掴めばいいか分からない。


彼は金具に足を掛けて、私の前に座った。
自分で握ってろ。今度は助けない
あなた

はい…

どこを…?


どうすればいいの??





と、慌てていると、馬が進み出した。
あなた

わっ…

咄嗟に、彼の背中を掴んだ。

隊服の自由の翼が目の前に見えた。




徐々に速度を上げていくので、振動が大きくなる。

馬の駆ける蹄の音と、彼が身に付けた立体機動装置のカチャカチャという音が規則正しく響く。

背中の痛みも強くなった。


あなた

…っ

痛むのか
あなた

ん…はい…

我慢しろ
あなた

コク

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姫乃
姫乃
受験を控えてますので、気分転換に書いています。 不定期ですがよろしくお願いします。
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