ギィィ…… ガチャンッ
ここは私の家だ。私の家族は母と姉がいる。
母)あっあなたお帰りなさい。帰って来て早々悪いけどお姉ちゃん起こしてきてくれない?
私は階段を上り、自分の部屋に荷物を置いて、早速お姉ちゃんのいる部屋に入る。
正直あんなぐうたら姉はとても困る。それに、今日はお母さんと進路の事について話さないと…
ガチャッ
そう考えながら自分の部屋に戻ると、1番最初に目に飛び込んで来るのは数々のトロフィーだ。
『新人女子バレーボール大会優勝北川第一中学校』
『ベストスパイカー賞 苑羽あなた』
私の部活動でのトロフィーだ。今でも飾ってある。
今私は、究極の選択を迫られている。
推薦を通りバレーを続けるか_
推薦を全て断り"気になる高校"に行くか_
実質、私はバレーでの"才能"はある方と無い方で言うとある方だと思う。
でも"センス"と言われたらないと思っている。
何せ自分より努力している人をこの目でずっと見てたから…
ふと机に目を向けると、机の上には進路希望調査と書かれた紙が置いてある。
………それは私にとって1つしかない。
母)あなたー!翔花ー!ご飯出来たわよー!
私は、その紙を持ってお母さんのいる1階へ駆け下りた。
母)えっ?!推薦を全部断る?!
今現在、机を囲んで夕飯を食べている最中お母さんが叫んだ。
母)どこよ。その高校って…
母)か、"烏野"……?
母)そ、そう…でもなんで……?
母)……そんなにあの時の光景が忘れられないのね。
あの日_あの時見た光景__
黒とオレンジのユニホーム姿にオレンジコートで相手のブロックより上に飛ぶあの選手の姿__
まさに"小さな巨人"___
何故か私は、自分がこの高校に行くのが楽しみにしていたみたいだ。
まるで、何かの“出会い”に心をウキウキさせているように____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!