「諦めたらそこで終わり」
しつこいほど言われてきたよ
だけど
何が終わるのか分からない
これまで積み重ねてきたことか
それともこれからという気力か
何れにせよ
もうどうってことないからさ
善人の中にある悪意が
蠢き出したら
もうどうしようもなくて
ただ眺めてるだけだと
諦めて知らんぷりしてたことをご存知?
手を離せば最後
もう二度と戻ることはできない
最初から分かってる
なのに僕は
知らないふりをしてて
惚けて
結局何も残らなかった
「前を向いて歩け」
もう言われなくなっちゃったな
それは
そちら側も「諦めた」のでしょう?
悪人の中にある善意を
前ばかり見ていてさ
後ろも 斜めも 下も 遠い過去も
見てないとして当然
それを見つけられたか?
手を伸ばしてみたとしても
もう一度やろうだなんて
思ったことはなかった
だけど僕は
貴方へは届かないはずなのに
感じた
結局何が知りたかったのか
信じていたものが
心の何処かで
音をたてて
崩れて落ちたとき
人は善も悪も
判断がつかなくなる
それでもやるのか?
疑問に思う
この境目が
誰の何のどんな基準で
決まっているのか
自分等の基準を
やがて世に押し付けてる
手を放せば最後
もう二度分かることはない
人の基準ってのははすごいものだ
なのに僕は
受け入れられずただ独り
自分から理解を焦って
射した
本当に此処に生まれて良かったよ
善悪の基準を定めては
群がってる 転がってる
人は今日も
「善人」と「悪人」が
混じり合って出来ている
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!