俺の足を優しく撫でながら嘲るように言うタキ。
足から上へ手を滑らせながら楽しそうにタキは笑った。
逃げたいのに、なぜか逃げれへん俺の声が震える。
俺はそれを聞いて、ヒュッと変に息を吸った。
俺の妹、綾菜は生まれつき腎臓が弱くて、とうとう腎臓移植を迫られた。
俺はお金と呼びかけの為にカラオケ大会に出て、結構良いところまで行ったんや。
タキはいつのまにか俺の目の前に来とって、首を撫でる。
そう言うた後、俺の首を両手で包み、力を入れてきよった。
苦しくて首を振り暴れるものの、気味が悪い笑い声が響くだけ。
絞るように締め付けてくるタキに叫ぶように喘ぐ俺。
息絶え絶えになりながら言うと、タキは大丈夫やと穏やかに笑う。
そう言われてから唇を塞がれた俺はプツンと意識を失った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!