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第59話

58.
あなた
あなた
すいませーん
これどこに置いたらいいですか?
両手で抱えた大きなダンボールの横から
顔を少し出して問いかける。



今日は教会が主催するバザーの手伝いにきていた。
荷物を置いて中身を机の上にセッティングしていく。今日の私の役割はコーヒー屋さんだ。



シスターから今日はよろしくねの声かけに
もちろんと答える。
あなた
あなた
昔、バイトしてたことが
あるんで得意なんです
任せてください!
そう、それはもう昔の話

3年以上前の話だ。






あれからもう3年以上が経った。



リクスとお別れして

留学して
毎日必死に絵の勉強をした。
それと、毎日リクスの事を思った。 


遠く離れてしまった。

慣れない土地に一人、心細い毎日

不安で泣きたくなるような日もあった。

そんな時はいつもリクスの曲を聴いて
心を落ち着かせていた。



もう私だけに微笑んでくれるわけでも
優しい言葉をかけてくれるわけでもないけど
リクスの声を聞いたらあのぬくもりが
甦ってまるで隣にいてくれるみたいに、、

頑張ろうって思えた。


ひとつひとつ地道に進んだ。


大きくはないけどいくつかの
コンクールで賞を獲り、小さな画商と契約して
私は画家としてなんとか生活ができるくらいになった。



もう戻ることはないと思っていた韓国に
帰ったのは
大好きなおじいちゃんの訃報が届いたからだった。




久々に踏んだ故郷の地は寂しくて寒かった。


だけど久しぶり部屋アトリエ
訪れた時

おじいちゃんとそれからリクスとの
思い出が溢れて、、

私はここに戻らないといけない、そう強く思った。


リクスはあれからもっともっと
活躍しているみたい。


あの約束通り、どこにいてもリクスの
声は私に届いていた。

リクスは
あの時よりもっともっとかっこよく、
素敵になった。 
それと、、
また同じ国にいるのに遠い遠い人になった。


、、私のことなんてもう忘れちゃったよね。



そう寂しく思っても、それが現実でしかない、
受け止める他なかった。


それくらい、もう過ぎた昔のこと、、
そう自分を納得させていた。







あなた
あなた
ふっー、、
終わったぁ!
一旦、腰を下ろして一息つく。

空の向こうでは
もう日が沈みかけている。


絵の仕事で関わったのをきっかけに
私はたまに教会の仕事を手伝っている。

今日の手伝いはバザーのボランティアだ。


今日のバザーも大盛況で賑わった。

少し喉の渇きを感じて
残ったコーヒーを適当にカップに
そそいで喉を潤す。

ここを片付けたら他のところの片づけの
手伝いにいこう、そう思って立ち上がろうと
上を向く。

前にはいつの間にか人が立っていた。



ピリ
ピリ
もう終わっちゃいました?
あなた
あなた
あっそうなんです
も、、
あなた
あなた
、、、どうして、、?
目の前には、
もう二度と会うことはないだろう、
そう思っていたリクスがいた。

あの頃のようにキャップにマスクにと
顔は見えなかったけど
その奥の目が

私に優しく笑いかけた。
ピリ
ピリ
、、久しぶり、、あなた
あなた
あなた
、、なんで、、?
ピリ
ピリ
、、探したよ。
あなた
あなた
、、、

、、体が勝手に動くとはこのことなのか

私は走り出していた。


その場から逃げ出した。

けれど数秒で体ごと捕まった。

あなた
あなた
、、はなっ、、離して、、
ピリ
ピリ
イヤだ
まだちらほら人がいる。

きっと見られている。


力を入れて抵抗するけど、
力強く抱きしめられて動けない。
あなた
あなた
なんでっ
あなた
あなた
もう終わったでしょ
あなた
あなた
もう会わないはずでしょう、、!
いつの間にかに泣いていた。





だって、、
もう二度と会うことはないって 
私とは違う世界のリクスを 
遠くから応援するって決めたのに。



なんの為に離れたのか、
わからなくなってしまう。
ピリ
ピリ
僕は会いたかったよ
あなた
あなた
、、!
あなた
あなた
、、、
あなた
あなた
私は違ったよ、、
あなた
あなた
もう、、終わったことだよ、、
本当はそんなことない

私もずっと会いたかった。

離れた事を何度後悔したかわからない。



だけど、、





離れたのは
全部リクスのためと思っていたけど。

本当は少し怖かった。





あの時の私にはリクスの全てを受け入れる
力なんてなかった。 


そんな自分が情けなくて、
それを
リクスから見抜かれるのが怖かった。


まだまだ未熟だった、子供だった。


でも今も何も変わっていない。


私はリクスのそばにいれるような
そんな立派な人間じゃない。


あなた
あなた
、、もうあの時とは違う、、
あなた
あなた
もう終わった、、
あなた
あなた
もう好きじゃないっ、、!
ピリ
ピリ
僕の絵を見たよ。
あなた
あなた
、、、!
ピリ
ピリ
あれがあなたの気持ちでしょ?
ピリ
ピリ
伝わったよ。
あなた
あなた
あれは、、
ピリ
ピリ
3年前は、、
僕たちまだ子供だったよね
ピリ
ピリ
僕はあなたを守れなかった。
あなた
あなた
、、また同じことを
繰り返すだけだよ、、
ピリ
ピリ
どんなに後悔したかわからない
ピリ
ピリ
あなたと離れたこと、、
あなた
あなた
あの頃と、
私は何も変わってないよ、、
また同じことの繰り返しに
なるだけだよっ、、
ピリ
ピリ
ありがとう
あなた
あなた
え?
ピリ
ピリ
まだ僕のことを好きでいてくれて
ピリ
ピリ
何も変わってないんでしょ?
あなた
あなた
そ、ういう意味じゃ、、
ピリ
ピリ
僕もかわってない
ピリ
ピリ
あの頃のまま
あなたが好き。
着いてきて


私の手を優しくとって
リクスはどこかに向かう。


あなた
あなた
、、、
着いた先は敷地内の教会だった。


扉の前で私はたちどまる。
あなた
あなた
、、待って
ピリ
ピリ
入って?
私は動かない。

動けない。

そのまま立ち尽くす。
ピリ
ピリ
ここでもいいか、、
ピリ
ピリ
神様にもきっと聞こえるハズ
リクスはゆっくり跪く。

帽子とマスクをとって
しっかり私を見上げる。
ピリ
ピリ
あなたは変わらなくていいよ。
あなた
あなた
え?
ピリ
ピリ
僕が変わる
ピリ
ピリ
あなたを守れるように
もっと強くなる。
私の手を取って

手の甲に優しく唇をあてる。


、、3年前のあの時みたいに。
ピリ
ピリ
あなた
愛してる。
ピリ
ピリ
ずっと愛してた。
ピリ
ピリ
これからも一緒にいて。
ピリ
ピリ
僕をみつめていてください。
あなた
あなた
、、その言葉の意味わかってるの、、?
ピリ
ピリ
もちろん。
ピリ
ピリ
ずっと一緒にいよう
その瞳が
あまりにも真剣だったから
私は笑ってしまった。
ピリ
ピリ
笑うとこじゃないよ?
あなた
あなた
、、うん、
わかってる、、
今度は泣いてしまった。



空の向こうにゆっくりと夕日が沈んでいく。


リクスがくしゃりと笑う。

私の大好きな笑顔で。