無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第58話

57.side F







今日も世界のどこかにいる君に







この声が届いていますように。
































    





3年後ー





ピリ
ピリ
、、海がキレイだなぁ。。



潮の引いた浜辺を一人歩く。

濡れて少し脆くなった砂に
靴が埋もれていく感覚が面白くて
ただ歩く。






今日はMVの撮影で海辺に来ていた。

休憩中に何気なく散歩する。







太陽の光をキラリと反射する波が
眩しくて目を細めた。



綺麗でまるで一枚の絵画みたいだ。







、、あなたは今でも絵を描いているのかな。




何気ないことでふと思い出す。




僕の大切な恋人だったあなたのこと。







あれから3年経っても僕の心から
あなたが消えることはなかった。





正確に言うと完全に忘れることはなかった。










あれから



最後に君と別れた日から


僕の毎日は慌ただしく過ぎていった。

僕は失った信頼を取り戻す必要が
あった。
もちろん迷惑をかけたメンバーたちにも。


幸い、僕の話題は少しの時間で終息した。

なんせ相手であるあなたがもう
この国にいないのだ。

いくら張り付かれても何もない。


そして皆んなが欲しがる話題なら
毎日イヤというほど更新される。


僕たちもそのひとつの話題に上がっただけ。



今考えれば、ただそれだけのことだった。

後から考えれば小さなことでも 
その渦の中にいると周りが見えずに
ただただ不安になる。


あの頃はまだ幼かった。

渦の中であなたを守ってあげられる
力もなくて
自分自身が立っているのが精一杯だった。



やっと渦の中から抜け出して
冷静になった時に
自分がどれだけ大きなものを失ったか知った。




あなた






僕の世界から君が消えた。






でも
あなたが消えても世界はずっと続いていく。


立ち止まってはいられない。

毎日仕事はするし
ご飯も食べる
仲間と笑い合う
そんな当たり前の毎日を過ごす。


あなたがいなくなっても世界は続く。


当たり前に、残酷に。









あなたはもう僕のことを忘れてしまったかな?

もういくつかの恋をして
僕のことなんか思い出すこともないのかも
しれない。
ピリ
ピリ
、、そんなことないね
だってあの時に約束した。


あなたが世界のどこにいても
僕の声が届くようにするって



あなたがもう僕のことを好きじゃなくても

新しい恋をしていても


この世界のどこかで僕の声を聞いている。

そしたら僕のことを思い出すこともあるだろう。


それで十分だ。





どこかで幸せでいてくれたらいい

あの大好きなあなたの笑顔が
僕ではない誰かに向けられていても、
あなたが笑っているならそれでいい。





そんな風に思えるくらいには時間が経った。


まだ完全に忘れることはできなくても。


ピリ
ピリ
、、何かやってる、、
浜辺の先に簡易テントが見えた。

のぼりが出てなにかの催事が行われている
みたいだった。


時間もあるし覗いてみるか

軽い気持ちで近づいてみた。



『釜山アート展』

新進気鋭のアーティストの作品を
集めて展示しているみたいだ、
絵や彫刻、写真などの様々な作品が
飾られていた。

作品を軽く眺めながら進んでいく。











ダメだ。










ここにいたらイヤでもあなたの
ことを思い出す。



3年経っても変わらない


あの時の自分への後悔と
あなたへのあの頃の気持ちが
蘇るみたいでー



ピリ
ピリ
、、戻ろう。
作品を見るのをやめて
足早に順路を辿る。


なるべく下を向いて
余計なことを考えないように。


早くここをでないと

思い出してしまう。

思い知ってしまう。


もう二度とあなたに会えないこと。

あなたをまだ好きでいること。
ピリ
ピリ
えっ
順路を確認するために
伏せていた顔をあげた。


飾られていた一枚の絵に思わず足を止めた。



鈍い金色の額縁で飾られた大きなキャンパスの
中で一人の少年が笑っている。  

正確には少年かどうかはわからない。

その顔は目元しかしっかりと描かれていない。

他のパーツはたくさんの鳩の体や羽に
囲まれていて見えない。


ピリ
ピリ
、、これ、、は
たくさんの鳩に囲まれて
少年が楽しそうに笑っている。




これは僕だ。






あなたと出かけたあの自然公園の




あなたが怖がって餌があげられなかった。


あの時の、、。



作品の下に
作品名と作家の名前が表記されていた。
ピリ
ピリ
あなた






急に現れたその懐かしくて呼び慣れた名前を
口に出す。


ピリ
ピリ
、、人物は苦手って言ってたのに、、





頬を涙が伝う。





3年ぶりのあなたを想う涙。










この絵は僕だ

君を好きだったあの頃の僕そのものだ。



作家名はあなた


作品名は
『みつめているだけで幸せ』    












この声が聞こえる?





聞こえるなら答えて







今もまだあなたが好きだよ。






あなたは今誰を想っているの?