※ブラック本丸、暴力・性表現が多少含まれていますので注意。
────────そこは、政府直轄本丸の一つ、訳あり黒本丸。通称“異例(黒)本丸”。
通常、黒本丸というのは刀剣男士を従えるはずの審神者が刀剣男士に対して暴言・暴力行為、肉体的な接触の無理強い、審神者としての役目を放棄(出陣に行かせない、手入れしない等)、刀剣男士同士への優劣による差別や外部による影響で本丸が機能しなくなった本丸(妖や呪い)など……黒本丸の例は幾つもある。“持ち主”への執着が強過ぎて審神者や仲間を斬り殺した刀剣男士が居る場合も黒本丸となる。
取り敢えず、機能停止した本丸を黒本丸と言う。
そして、異例本丸はそう言った黒本丸から来た刀剣男士を一時的に預かり、政府直属の代理審神者と呼ばれる審神者が可能な限りの更生を行っている。
けれど、異例本丸行きになる前に手に負えないと判断された刀剣男士は刀壊、封印、もしくは政府の元で管理を行っている。
異例本丸に居る刀剣男士達は時に、代理審神者の政府の役人仕事を“出陣”とし、手伝い、汚れ仕事も行う。
だが、異例本丸の刀剣男士の中には黒本丸関係なく、審神者が居なくなったことからただ一時的に代理審神者が引き取っている刀達もいる。
また、更生したと判断した場合どの本丸へ送るかも代理審神者の役目だ。
けれど、中には異例本丸を気に入ってそのまま代理審神者の刀として異例本丸に身を置く者や、審神者自ら引き取りたいと代理審神者の元に訪れる者もいる。
漆黒の髪に血塗られたかのような鋭く真っ赤な眼。若者の名は斗永と言った。勿論真名ではなく、審神者名。異例本丸の管理者にして異例本丸に居る刀剣男士達の代理審神者。
一見男性にも見え、中性的ではあるが性別不詳。
政府直属の調査員の一人であり、時には審神者に対し指導や刀剣男士、人関係なく斬った張ったの汚れ仕事を担う場合もある。
しかし、あくまでメインは調査員であり、後者の仕事は人手が足りない時に駆り出される程度で、本来ならその担当の者が居る。
時の政府の役員達が居る建物内で斗永は一人の女性に声をかけられた。
時の政府の建物は、場所によって数があり、雰囲気も建物の系統も違う。本部はまた隠された場所にあるという。
女性は不機嫌さを顔に出すが、斗永は気付いていながらも話を続けた。
それだけ言うと、斗永は「貴方が審神者以前に人として心身共に成長した際には、引き継ぎを考えましょう。ではまた」と最後に言い残し、その場を後にした。
政府の元に顕現した一振、山姥切長義は斗永の仕事の相棒として行動を共にすることがある。呆れた笑みを浮かべ、長義は再び口を開いた。
斗永は長義を連れ、建物から去っていった。
これがまず、一人目の審神者だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。