ぼくが"わたし"から"ぼく"になったのには理由がある。
小6の時。とある人に恋をした。さやか。その少女は可愛いくて優しい女の子。すごくモテるから、早めにコクらなきゃとられちゃう、、
はじめは女の子を好きになっちゃダメなんて思ってなかった。
"さやかがすきです。付き合って下さい"
その一言がさやかの顔色を変えた。
気持ち悪い。女同士とかありえない。もう二度と顔を見せないで。
さやかのこんな声、顔、震え、見たことがなかった。
なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?なんでだめなの?
友達に相談した。女の子が好き。男でいたい。って。キモいって言われた。
もう、"わたし"百瀬ゆうかではなくて、"ぼく"百瀬ゆうかになってしまった。
ぼくの心は男です。でも、みんなは ゆうかちゃん って言います。
女の子らしくしなさいって言います。ぼくじゃなくてわたしって言いなさいと言います。もうぼくがぼくらしく生きるのはむりです。中学生になったらスカートをはくそうです。嫌です。女に産まれてしまった。その限り、男じゃダメみたいです。つらいよ。だれか分かって..."ぼく"の気持ち、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!