第7話

夕日
156
2018/07/21 00:32
ガチャッ
いつもより玄関のドアを開けるのが重く感じるのは気持ちのせいだろうか。
晴人
晴人
よぉ。
実花
実花
あ。うん。
……………。


やっぱ、合わす顔がないや。
晴人
晴人
お前今日なんで休んだんだよ。学校。
実花
実花
え、なんか、頭痛?
わかりやすい嘘をひとーつ。
晴人
晴人
お前さぁ
晴人が呆れた顔をする。
晴人
晴人
今日の倉咲の顔、やつれてたぞ。
実花
実花
あ、うん。
晴人
晴人
うんじゃねぇだろ、
今、だめなんだって。

今、あなたから蘭子のことを語られると、また意地悪な自分が出てくるから、だから、
実花
実花
そのことなら晴人は関係ないよ。
あぁ、わざわざ家に来てくれた好きな人に言う言葉じゃないだろ、自分。
実花
実花
それだけならばいばい。
本当に、最低だ。
晴人
晴人
お前、どしたぁ?なんか、おかしいぞ
実花
実花
おかしいおかしいって、
実花
実花
おかしくなっちゃうのは
実花
実花
晴人のせいなのにっ!
晴人
晴人
は?
実花
実花
もういいっ!
晴人
晴人
ちょっと待てよ!
私は家に鍵をかけることなんか知らんぷり。

晴人の横を走り抜けた。
向かう先は、あそこ。
晴人
晴人
おいっ、、、

まてよっ!!
晴人は相変わらず追いかけてくる。
実花
実花
こないでっ!こないでよっ!!
息切れが激しくなる。
晴人
晴人
俺のせいって、どうゆうことだよっ?!
実花
実花
……。
もう、本当にどうでもよくなってきた。

好きな人にまでこんなこと言っちゃうんだから。もう手遅れだ。
晴人
晴人
おいっ!おいっ!みはなぁっ!
潮の匂いがしてきた。
実花
実花
ついたぁっ!
私が目指したそこは


海だ。
晴人
晴人
こんなとこ来て何するつもりだよっ?!おい、実花!
何するって、別に予定なんかない。
昨日ここで無心状態になれたときみたいに。

無心になって、
全て忘れ去りたい。

ただ、
実花
実花
それだけ。
晴人
晴人
なにがだよっ?!
晴人
晴人
お前本当にどうしたんだよっ!
晴人が必死に追いかけてくれたのはなぜ?

こんなにも心配して聞いてくるのはなぜ?

私のことが、好きだから?

友達だから?
実花
実花
はる、、、とっ、
気づいた時には私は、泣いていた。
実花
実花
はる、、とっ!
実花
実花
わたし、わたしぃ
その時だった
蘭子
蘭子
みはなぁっ!
実花
実花
り、んこ??
蘭子
蘭子
実花!ごめんね!本当にごめんねぇっ
蘭子
蘭子
あたし、あたし、実花のこと考えてなかったよぉ、ごめんねぇ、ごめんねぇっ
蘭子の顔は涙で埋もれていた。


どうしてあなたが泣いてるの?
どうしてあなたが謝るの?

どうして、、
実花
実花
りん、こぉっ!
蘭子
蘭子
ごめんねっ、みはなぁ!
私たちは抱き合った。

きつくきつく。もう、二度とこんな風に離れないように。
実花
実花
蘭子、わたしこそっ、ごめんねっ、
あんなひどいこと言って
ごめんねぇっ
蘭子
蘭子
ううん!実花、こっちこそごめんっ
私たちは微笑みあった。


もう二度とこんなすれ違いが起きないように。
晴人
晴人
お取り込み中すみませーんっ
晴人
晴人
じゃあ俺、帰りやーっす。
晴人
晴人
よくんわかんねぇけど、なかなおりできたっぽいし。
末長くお幸せに
実花
実花
晴人!ありがとぉっ!蘭子呼んでくれたの晴人なんでしょ!
晴人
晴人
まぁな、走りながら電話するのはなかなかきつかったぜw
晴人
晴人
じゃっ!
実花
実花
ありがとーっ!
蘭子
蘭子
ありがとぉー!
実花
実花
蘭子
実花
実花
これからも仲良くしてね!
蘭子
蘭子
もちろん!
蘭子
蘭子
実花!これからもずっーと仲良くしてね!
実花
実花
うんっ!
私たちはそのあとたくさん話した。


たくさん笑った。
蘭子
蘭子
じゃあ、明日ね!ばいばい!実花!
実花
実花
うん!明日、学校でねっ!
帰り道。
私が見た景色は昨日とは違っていた。
すべて、何もかもがどうでもよくって、
見てると感情とかぜんぶ吸い込まれてく感じがした
あの水平線でみた夕暮れ。



私が帰り道見た景色は、
実花
実花
きれっー!
オレンジ色に輝いて、

全てを温かく照らしてくれている太陽がゆっくりと月と交代するために沈んでいく様子。

私はいままでの人生の中で1番この景色が美しいと思えた。

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