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第2話

まふまふさんと英語 ①
「さあ、今日は僕ですよ!」

やる気たっぷりに宣言したまふまふに、よろしくお願いします、とあなたが頭を下げる。

まふまふはあなたより一つ年上だが、まふまふが癖で敬語を使うため、二人は出会った当初から互いに敬語で話している。

「それで、何が分からなかったんですか?」

「これなんですけど……」

あなたはワークを開いてくるりと回し、まふまふにワークの下側を向けて差し出す。

まふまふが受け取って、番号の左上に星がついている問題に目を通した。

「ふんふん……なるほどね」


( ) you know the truth? You can’t have heard it.

① Why ② Shall ③ How come ④ Would


「答えは③ですね?」

「えっ、正解です!なんで分かったんですか……?①選びません?」

「うーん……そこは使う場面でも分けられるんですけど、とりあえずは語法ですかね」

まふまふは自分の筆箱から取り出したシャーペンの頭で問題文の「you know」の部分をトンと叩いた。

「ここ、主語+動詞の語順になってるじゃないですか。でもこれって疑問文ですよね」

「はい。……あっ、そっか、Whyは語順がひっくり返るからダメなんだ!」

「そうなんです。Whyから始まる疑問文なら、動詞+主語の語順になるはずなんです。なのでここから①は削除できるんですが、実は選択肢の中にWhyと同じ意味を表す表現が入ってるんです」

「……それがHow comeなんですね!」

「はい。さらにHow comeは、後に続く文が主語+動詞の形を取ります。よって正解は③というわけです」

まふまふがにっこりと笑う。あなたは理解できたことで心の不快感が晴れ、明るい笑顔になった。

「ありがとうございます!めっちゃ分かりやすかったです!」

「っ……い、いえいえ」

赤く染まっていく頬をあなたから隠すように顔を下に向けるまふまふ。

そのついでに、あなたに不審がられることのないよう、他の選択肢についても解説を加えた。

「ちなみに②を入れると意味が分からない文になるので削除。④も同様の理由で削除です。この辺は文脈判断ですね」

「ですね……。後半って『あなたがそれを聞いたはずがない』で合ってますか?」

「大正解です」

落ち着いた空気の中で優しく微笑まれて、あなたは思いがけずときめいてしまう。

「も、もう一つあるんですけど!」

「ん?どれ……ああ、これは《get〜across to A》で“Aに〜を理解してもらう”って意味で……」

まふまふはふと、何かを思ったように言葉を止めた。

「まふさん?」

「……なんでもないです。今言った型に当てはめれば解けると思います。頑張ってください」

「はい!」

あなたはニコッと笑って頷き、その並べ替え問題に取り組む。

その様子を見守るまふまふが、まるでたまたま思い出したかのような自然さであなたに尋ねた。

「そういえば、僕も英語得意なのにどうしてそらるさんと先に勉強してたんですか?」

「え?それは……流れ?っていうか、英語苦手って友達と移動教室の時に話してたら、すれ違うところだったそらるさんが声かけてくれたんですよ。教えてやろうかって」

「……ふーん。じゃあ、特に意味はないんですね」

「意味?はい、ないと思いますけど……」

何のことか分かっていないような顔でまふまふを見るあなた。まふまふは問題を解くのを中断させてしまったことに後悔を感じながら、「すみません、問題戻っていいですよ」と言って頬杖をついてあなたから視線を外した。

あなたはまふまふへの疑問を残しつつも、言われた通り問題に戻った。

まふまふは、ワークに真剣な眼差しを注ぐあなたをちらりと見た。

そして、彼女に聞こえない声で小さく呟く。

「……It seems to be difficult that I get my feelings across to you.」



(僕の気持ちを彼女にてもらうのは難しそうだ)