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第1話

同じ窓から

パチリ。
もしも目から一直線に光線のようなものが出ていたとしたら今この瞬間にその線と線が交わってこの教室で大爆発が起こっただろう。
爆発地点は僕の目線の先にいる彼女と僕を線で結んでその距離を二等分した中心の点がそれになるだろう。
僕らの視線は重なった。それも人間関係すら交わらない僕らの視線が交わった。
ふとした時だった。好きな本を読んでいて窓際の席から斜め前の方向へ視線を送った時それが起こった。なぜ僕はこんなにこのことを気にしているのか、彼女が僕に気があるのではないかとかそう言った事は思ってはいない。こう言った些細な事くらいしか気にする事もないのだ。何かを犠牲にしてでも成し遂げたい夢があるわけでもなく、勉強がしたいから大学へ進むためにペンを動かすわけでも、朝から晩まで必死になって汗をかくほどにスポーツをする訳でもない。比べて彼女は眩しかった。自分の信念の為に口うるさい先生には片っ端から喧嘩を行い、彼女に口を出した人皆を彼女は否定した。僕からしたら彼女がなぜんそんな事をするのか労力も時間も無駄にしているようにしか見えない。そんな生き方苦しいだけだと思う。

パチリ。
最近よく目が会う気がする。きっとあいつにとっては私と目が合っているとも感じてないのだろう。でも私が感じるその目が合った結果がどうも感に触る。私は一般的に言われる不良の部類に含まれる。でも夜遅くまで出歩いて煙に自分の不満を乗せたり、己の思いをそのまま物理的に世の中に具現化させてるわけではない。気に入らないことに口を出しているだけた。その考え方その覚え方が正しいと信じて疑わない教師やグループなんて呼ぶ無個性の吹き溜まりに身を預けるのが当たり前だと思っている他の女共も遺伝子に縋り付く親もみんな気に入らない。理解できない。でもあいつは特に気に入らない。何が合っても自分の意思を通さない、すぐ自分から話を終わりへ導いている、何をしても自分を主張しない。私からしたらあいつはなんで何もしないのか労力も時間も無駄にしているようにしか私には見えない。そんな生き方苦しいだけだと思う。

「よしよし」
僕は外の景色に似合わないダンボールの中に手を入れその住人と戯れた。
パチリ。
あいつと目があった。私は知らなかった、あんなところに子犬がいるなんて。気がつきもしなかった。周りの小さなことに目を向けているあいつだから気がついたんだ。

「おい、クソ高校生が、そこの道開けろよ」
私は内輪で盛り上がっていた奴らに毒を吐いた。
「おばあちゃん信号渡るよ」
パチリ。
彼女と目が合った。僕にはできないな、あんなにすぐ知らない人に声をかけて手伝うことなんて。自分の正しいことに忠実な彼女だからこそそれができるんだ。

僕らは同じ窓の中にいるのにこんなにも違う。私たちはこれからも関わることなんてないのかもしれない。でももし来世があったとして別の生き方ができたなら
僕は彼女みたいに生きてみたいと思った。
私はあいつみたいに生きたいと思った。

パチリ。
あいつはまた一人で本を読み周りに目をやる。

パチリ。
彼女はまたみんなに口を出す。

同じ窓から見える景色はこんなにも違う。

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