そしてついに待ちわびた県総体の日、朝早くから新幹線に乗って宮崎に行った。
そしたらまたあなたちゃんからの留守番電話に気づいた。
なんとか試合には間に合って
念力を送った。
少し見ただけでも分かった。
あなたちゃんはチームの要だった。
だからディフェンスも2.3人行くようになっていて膝の調子が心配でしかたがなかった。
残り時間10秒でボールは相手にある。
点差は2点。
相手のボールをあなたちゃんがカットした。
だけど相手が2人帰っていてスリーポイントが打てない。
だけどラッキーなことに1人はリング下にいる。
1人をぬいてファウルをもらうようにリング下のディフェンスにあたりながらレイアップを打った。
ピーッ
笛とともにボールはリングに吸い込まれた。
審判「カウント、ファウル白6番、フリースロー」
あなたちゃんは無理のし過ぎで膝はとっくに限界を迎えていたけど必死に踏ん張ってフリースローラインまで歩いて行った。
懸命な姿に胸が苦しくなる。
梨乃「あなたー!!入るよ!!」
詩音「あなた先輩!絶対入ります!」
ベンチ「1本入るでー!!」
チームメイトが声をかけているのが目に入る。
なにか声をかけなきゃって思った時。
あなたちゃんはドリブルを3つしてボールを構えた。
つぶやくような俺の声がでた。
ボールはリングに放たれるときれいな放物線をえがいてリングに音を立てて入った。
会場は歓声に包まれた。
梨乃「あなたー!!!やったー!!!!!」
みんなあなたちゃんの方へ駆け寄って抱きついた。
もう泣きだしてる子もいた。
その涙はあなたちゃんにもうつってみんなにもうつってみんな泣いた。
突然座り込んだあなたちゃんを見て
そうつぶやくと俺は仕事に行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。