第7話

#6★
2,671
2019/07/10 08:40
吉田○○
(総体でれないのかな…)
1人になりたい時にいつも河原によっていた。
今日も足が向いていた。
土手に寝転がるとスマホで《前十字靭帯断裂 復帰まで》調べていた。
ジョギングできるようになるまで8週間だって。
吉田○○
無理じゃん…
勝手に目からは涙がこぼれていた。
高校でバスケの強いところに行きたいとかひそかに思ってた自分がいた。
でも母子家庭だから姉と同じところに行くしかないって分かってた。
だけど行きたかったんだ。
総体でいい成績残したらスカウトとか来て、そしたら行けるかな、なんて思ってたんだ。
夢も楽しみもなにもかも一気になくした。
悲しくて苦しくて泣き続けた。
気がついたらもう空には星が見えていた。
私が住んでいる田舎には星空しかない。
だけどその分とてもきれいなんだ。
星空を見上げていると悲しみとか苦しみも忘れさせてくれるような気がした。
??
…いたっ!!
ドサッ
大きな音と一緒に人が転がり落ちてきた。
吉田○○
!?
驚いたのとともに大丈夫なのか心配になった。
??
うわ!?…うわ、俺ださ…
私に気づいて勝手に落ち込んでる。
なんか変な人だと思った。
いい意味で!!
??
ここ、星がきれいに見えますよね!俺もここ好きなんです!
吉田○○
(なんか気が合うなぁ…)
??
…泣いてたの?
目を見られてしまったらしい。
だけどなぜかこの人には見られても平気だった。
吉田○○
はい…
??
どうしたの?
そう言いながらこの人は少し離れたところに座った。
そういうところにも共感した。
吉田○○
…私バスケやってるんです。2ヶ月後に総体控えてたんですけど、前十字靭帯断裂して手術が必要で復帰できるのは8ヶ月後らしいです。この大会でスカウト来てくれるかもで母子家庭で育ててくれた母に迷惑かけずにバスケの強い学校にいけると思ったのに…
また涙がどんどんあふれだしてくる。
??
…そっか、しんどかったね…
そう言って抱きしめてくれた。
初対面の人ならすごく嫌なはずなのになぜかこの人には安心できた。
??
俺もバスケやってたんだ…けど俺はバスケをやめて夢叶えるために上京したよ。だけど後悔はしてない。最後にやりきったからね
??
名前なんて言うの?
吉田○○
…あなたです
??
あなたちゃん。ぴったりな名前だね
??
俺は……
“陣さん”
…陣

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