1人になりたい時にいつも河原によっていた。
今日も足が向いていた。
土手に寝転がるとスマホで《前十字靭帯断裂 復帰まで》調べていた。
ジョギングできるようになるまで8週間だって。
勝手に目からは涙がこぼれていた。
高校でバスケの強いところに行きたいとかひそかに思ってた自分がいた。
でも母子家庭だから姉と同じところに行くしかないって分かってた。
だけど行きたかったんだ。
総体でいい成績残したらスカウトとか来て、そしたら行けるかな、なんて思ってたんだ。
夢も楽しみもなにもかも一気になくした。
悲しくて苦しくて泣き続けた。
気がついたらもう空には星が見えていた。
私が住んでいる田舎には星空しかない。
だけどその分とてもきれいなんだ。
星空を見上げていると悲しみとか苦しみも忘れさせてくれるような気がした。
ドサッ
大きな音と一緒に人が転がり落ちてきた。
驚いたのとともに大丈夫なのか心配になった。
私に気づいて勝手に落ち込んでる。
なんか変な人だと思った。
いい意味で!!
目を見られてしまったらしい。
だけどなぜかこの人には見られても平気だった。
そう言いながらこの人は少し離れたところに座った。
そういうところにも共感した。
また涙がどんどんあふれだしてくる。
そう言って抱きしめてくれた。
初対面の人ならすごく嫌なはずなのになぜかこの人には安心できた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。