第71話

陰キャブスの私 青橙♀
504
2021/03/04 00:30
学校というものは非常に厄介だ
人付き合いに勉強、嫌いなもののオンパレード
高校生くらいにもなれば化粧やファッションに興味を持つものだが、てつやは違う
目立つのが大の苦手なてつやは陸上が好きだから陸上部入ったものの、先輩たちにブスだブスだと言われる
もちろん男女の先輩に
同級生も言っているのを知っている
てつやの格好はボサボサなストレートの髪に
大きな丸眼鏡
制服のサイズが合わなかったからちょっとだけサラシを巻いて、胸をまな板ペタンコにした
スカートも折ったりせず、きっちりと制服を着こなしている
そのせいでなんか地味だ
親にもダサいよ、と言われたが、化粧だのファッションだのめんどくさいことはしたくないてつや
そのために朝の有意義な時間を使うくらいならギリギリまで寝ていたい
てつや『別にどーでも良いし...周りの目なんか』
友達も作りたがらない、むしろ作らない
一人で十分だった、家に帰れば愛犬で妹みたいに可愛がっている蘭がいるし、思春期だけど遊んでくれる弟もいる
それだけでこれ以上ない幸せと思っていた
りょう「ねぇ邪魔なんだけど」
出たよ、学年一イケメンらしいりょうとか言う背が高い男
てつやは何かとコイツと接触しがちだ、一体なぜだ
部活も一緒だし、まぁ別に話しはしない
興味がない、てつやの興味がある男は櫻井翔くんだけだ
彼を勝るものはいない
てつや「だったら別の道通りなさいよ、他にもあるでしょ?」
りょう「こっちの道の方が近道なんだよ食堂まで」
てつや「そんなの知らないわよ、私は今掲示板にポスター貼ってるの、見て分かんない?あんた目でも悪いんじゃない?」
てつやは口だけは物凄く悪い
それと人付き合いは苦手だが売られた喧嘩は買う
自慢じゃないが、子どもの頃は岡崎の女帝と呼ばれて恐れられていた
他の高校にはてつやのことを勝手に尊敬してついていってる子分もたくさんいる
だから別に高校で友達が出来なくても良かったのだ
決して不良ではない、と決めつけているが半不良である
りょう「は?そういう言い方はなくない?ちょっと退いてくれたって良いじゃん」
てつや「嫌よ、早くポスター掲示したいのにわざわざその時間を裂くような無駄な行動は一秒たりとも取りたくないから」
こういうのを相手にするのも只でさえめんどくさいのに
りょう「はぁ、うざっ...」
てつや「どうぞご自由にそう言ってください、早く行かないと食堂埋まるし昼休み終わるわよ」
イライラしながらこの道を通るのを諦めてりょうとか言う男は去って行く
なんだったのアイツ...
てつやも恨めしそうにりょうを睨みつけ、ポスターの掲示を終わらせる




部活の時間は勉強なんかよりずっとマシだが、如何せん先輩やらが突っかかって来てうざい
顧問に相談したところで相手はしてくれない
ならば自分がソイツらのことを無視すれば良い
それが気に触って、先輩たちはいじめに近いイタズラをしてくるのだろう
てつや『いっそのこと部室の壁でも破壊して黙らしてやろうかしら』
発想が不気味だ
数時間して部活も終わり、制服に着替え、自転車を持ってきてないてつやが歩いて帰ろうとしたら
てつや「げっ...」
りょう「げってなんだよ、それはこっちのセリフだし...」
まさか帰り道が一緒になるとは思わなかった
最悪だ、早足で帰ろう
相手にもしたくないりょうの前を突っ切ろうとしたときだ
りょう「あっ、おい止まれ」
無視を決め込もうとしたら
りょう「びしょ濡れになるぞ...」
てつや「は?......」
その瞬間、てつや目掛けて水やりをしていた園芸部のホースが大量の水を出してかかった
「キャーごめんなさい!!!」
てつや「......」
濡れることに関しては別にいいが、自転車じゃないんだぞ今日は
りょう「大丈夫?」
珍しくりょうが心配している
それを無視して歩く
りょう「無視すんなよ、たく人が折角心配してやってるのに」
てつや「そんなのはいらない、アンタみたいな男に心配されたくもない」
りょう「あっそ、でもその格好でお前んちまで帰んの?」
てつや「他にどうしろと言うのよ、それ以外」
りょう「いや、俺んち近いし乾かしてけば?」
てつや「風の吹きまわしがよく分からない男ね、私のこと嫌いなくせに」
あんだけ突っかかって来るのに嫌いじゃないわけないだろう
りょう「貸し作っとけば今後俺が優勢に立てるかもしれないじゃん、ほら行くよ」
やはりそういうことではないか
気づいたらりょうに手を掴まれ引きずられるように彼の家に連れてかれた




彼の家に着いた途端、風呂場に連れてかれ、放り込まれた
雑にもほどがある
あまり自分の素顔見せたくないのに
仕方なくシャワーの出して、暖まる
自分の家よりか高性能だ
確かりょうの家は金持ち寄りだったな、そのせいか...
だがそれを自慢することなく、基本謙虚な男こそ人気なのかもしれないが、てつやはそうは思わない
あーいうやつこそ苦手だ
だいぶ体が暖まり、用意されていたアイツの妹だろうか、の服を着る
アイツが着るには可愛すぎるし、小さすぎる...
てつやは着替え終え、ドライヤーも勝手に借りて、髪を乾かし、洗面所から出てきた
眼鏡もかけてない、ボサボサじゃない髪型、サラシも巻いてない格好でしかもお風呂上がり
りょう「お前人ん家でくつろぎす...」
てつや「アンタが勝手に連れてきたんじゃない、有効に使わせてもらっただけよ...何が悪いのよ...って、どうしたの?」
急に何でか知らないけど、黙るりょうをさすがに心配した
それもそのはず、てつやの格好のせいだ
お風呂上がりで乾かしたばっかのストレートな髪
丸眼鏡の奥からじゃ想像できないくらい、大きくて可愛らしい瞳
普段からじゃ似つかない、クラス...いや学年のどんな女子より大きい胸
りょうは顔を赤くする
こんなの反則に近い
てつや「ねぇ、大丈夫...なの?...えっと、福尾、だったけ?」
りょう「あ、大丈夫...」
ギャップがスゴい
こんなのありかよ...
りょう『普通にめっちゃかわいーじゃん...』
実は、てつやのことを気になっていたりょうは、嫌いだから突っかかっていったわけではなく、むしろ好きに近い感情だったから突っかかっていたのだ
家に呼んだのも、あの場面じゃ好都合だったから
りょう『どうすんだよ...明日から普通に見れねぇ...』
困ったな、と頭を抱えるりょうを他所に、早く帰って嵐の出てる録画した歌番組をみたいてつやは早々に帰り支度をしていた











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