第512話

変わっていく君の表情と感情 青橙
252
2022/05/08 13:54
てつやが外よりも家にいてのんびりして過ごしたい、ということから今日は大人しく家で過ごすことにした
別に外に出たかった訳でもなかったし、てつやがそう言うならそうしよう、となっただけだ
ただ家の中で過ごすのも何なので、終わっていなかった編集をしたりゲームをしたりと、家の中で出来ることは全部しただろう
時間も夜になって、夕飯も済まし終わったあとは映画でも観るかとなり、今は鑑賞中である
二人用のソファで各々ゆったりと使って座って観ていた
てつやはソファのひじ掛け近くに置かれているクッションを抱えて映画を食い入るように観ている
正直、りょうにとっては食い入るほどの映画ではなかった
ありきたりなパターン、王道....確かに初めて観るし、最初は引き付けられたが次第に観ていくとその気持ちも冷めていた
元々映画などを観る機会が少ないから、興味がさほどないのかもしれない
りょう『ハズレ映画か....』
ふー、と息をついてひじ掛けを使い頬杖ついたりょう
かといって...もうこの映画観るの止めようとは言えない
一応てつやは興味深々で映画を観ているし、邪魔は出来ない
横目でチラッ、とてつやの方を見れば...場面場面で表情がコロコロ変わって面白い
驚いて口を開けたかと思えば、知らない内容を説明されて納得したようにへー...と小さく声を漏らす
急に音が大きく鳴ったらビクッ、と肩を揺らしたり、衝撃展開には思わずえ?嘘...と声を漏らすのを我慢出来ずにいた
りょうは笑ってしまう、子どもみたいな反応のてつやに...
映画を観るよりも面白いし、興味深い...
りょう『ホント、飽きないなぁ....』
映画なんかそっちのけでてつやのことを気づかれないようにこっそりと表情を観察していたら、急にてつやの大きな瞳から雫が頬を伝う
りょう『えっ、』
一度流れれば、止まらず...どんどん流れていく雫にりょうはギョッとして固まった
てつやは泣いている...大泣きとか声を上げて泣くとはまた違う
すん、と鼻を啜って...袖口で必死に目元と鼻の下を拭っている
りょうが久方ぶりに映画の方に目をやると、いつの間にか悲嘆なシーンへと変わっていた
だから泣いていたのかと納得...だが、しばらく観ていたが、りょうには泣くようなシーンじゃなかった
りょう『...そういや、感動シーンは絶対泣くよなてつやのやつ』
映画を好むてつやは、感動すると噂の映画を観に行っては泣いて帰ってきた
ブサイクだなその顔、とりょうが呆れながらからかうとうるさいなぁ、と目元を赤く腫らして鼻をかんでいたてつやを思い出した
あのときと何ら変わらない光景だ
りょうの個人評価では高くはなく、刺さりもしなかった映画に、てつやは号泣して涙を流し、鼻水も垂らしかけている
バカにするでもなく、...呆れているりょう
否定をするとかじゃないが、良い歳した大人がそんなに映画の内容で泣かれると呆気に取られるし...驚かされる
はぁ、とりょうがため息を吐くと鼻の下を強引に擦っているてつやに傍らにあるティッシュを差し出した
りょう「ほら、袖口なんかで拭くなよ汚い」
てつや「っ!?....だって、ぐす...ディッジュぢかくにながったんだもん....///」
りょう「あー鼻赤いぞ、トナカイとまんま一緒...目元も酷いことになってるし」
てつや「なっ、うるざいやい!!///っ、は、めちゃくちゃ感動するだろ!?///泣かないお前のが感性おがじいっ!!!///」
りょう「はいはい分かったから、ティッシュで鼻かめよ」
りょうの手元にあったティッシュをふんだくると、てつやは鼻をチーンッ、と鼻をかんだ啜ってた分、量も多いから一回でかみ切れてなかった
ふと、ティッシュを丸めてゴミ箱に捨てていたてつやが、りょうに聞いてみた
てつや「....こんな俺、変?」
りょう「......いーや、まさか...」
てつやの言葉に否定をするりょう
てつやはりょうの言葉に、ホッと胸を撫で下ろした
呆れられているのは薄々気がついてはいたが、キモチワルがられてはいなかった
りょう「面白いからな、お前のその反応も含めて....」
てつや「面白がるなよぉ....」
りょう「....そういう表情とか感情豊かなてつやも好きだよ、」
てつや「ーーっ、....///」
りょう「チョロいな」
てつや「うるざいやいっ!!!ばぁか!///」
顔を真っ赤にしたてつやが図星を突かれて枕で顔を隠してしまう
りょうはその反応すら可愛いと感じ、ムスッとしながら映画を観るのを再開したてつやのそばを離れず、ずっと居続けたのだ....
観なくても良いなら離れれば良い....それをしない理由がこれだから...











結構前に貰ってたリクエストりょうてつ小説、遅くなってごめんなさい!
映画観てるりょうてつだけど...りょうてつっぽくないがりょうてつと言い張る...僕は
こんな内容でも、楽しんで読んで頂ければ嬉しい限りです....
次は金髪りょうくんにカッコいい抱いて!!とかなるてっちゃんが書きたい....

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