私が不安そうな表情で俯くと、なーくんがそっと抱きしめてくれた。
ー影から覗き見してた方々ー
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『それでは…はじめ!』
ピッ!という笛の音とともにカウントダウンの数字が動き始める。
試合時間は20分。
チームの女の子がこちらにパスをくれる。
この距離なら…!!
シュッ
『ピッ!A組1点!B組ボールです!』
コートの外で優芽ちゃんが大声で応援してくれている。
その後も私達は順調にシュートを決めた。
しかし、勝敗も付いたかと思った時。
「チッ…さっきからうぜぇんだよ調子乗りやがって」
突然耳元でそんな声が聞こえ、動揺して動きが鈍くなってしまう。
その刹那、足に痛みが走った。
足を思い切り踏んづけられたのだと理解した時には既に私の身体は前に傾いていた。
ドタンッ
体育館中に私の転んだ音が響いた。
…正直に言うと足を捻ってしまっていて上手く走れるかどうか分からない。
(逆に迷惑かけちゃうかも…)
.
.
.
その後はあまり上手く連携が取れずとうとう同点まで追いつかれてしまった。
『ピピーッ!第1試合女子、前半終了!メンバーの入れ替えをして5分後にコートに着くように!』
なんだか優芽ちゃんの表情がすごく暗い。
怒っているようだ。
バレてた…!?
そ、そっちに怒ってたの!?
『A組、B組後半女子の試合間もなく始まります!
コートに着いてください!』
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優芽ちゃんはまるで少女漫画のヒーローみたいにシュートを決めまくっている。
『ピピーッ!第一試合女子、A組34点、B組21点!A組の勝利!』
男子の方も無事に勝てたみたいで、ラーメン券は無事A組に配布された。
なーくんにはなにかお礼をしないとな…
こうして無事にスポーツ大会は終わりを迎えたのだった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!