前の話
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ねえ、私は今でも君のいた過去と生きてるんだ。
私と君はお互いが愛しくてたまらない存在で毎日のように一緒にいたけど愛しい気持ちだけでは過ごせなくなって別れを選んだ。二人泣いた日々をあなたの涙を忘れられない。
ああ、なんで?と疑問は尽きない。後悔も尽きない。恋焦がれる想いも尽きないんだ。
毎日を過ごしていくには不可欠だった君。おはよう、おやすみの一言でさえ今は聞こえない。
歩いた道行った場所体験した事食べた物交わした言葉は全部忘れたの?
時間は進むし人々は歩みを止めない。でも君のいない生活はもう覚えていないからどうしていいか分からなくて息が詰まるよ。
君にはもう伝えられないけど伝えたい言葉が沢山あるんだ。とても愛していてありきたりな言葉では表現するのが難しい。
匂いも仕草も表情も私を見て可愛いと笑う瞬間も素敵だったのに今では黒くて寂しい物になってしまった。
もっとこうすれば良かったこうして欲しかったなんてのは尽きなくてでもそんな事思ったって無意味だと実感させられる日々。君を想い寂しく後悔することさえも許されない世界だ。私にだけ美味しい食べ物も感じられない私にだけ美しい景色も見せてもらえない私にだけ幸せという感情を味わえさせてもらえないそんな世界になったんだ。
未来なんて分からないとか時間経てば忘れるとかそんな事どうだっていい今がこの生きてる時間が辛くてたまらないのだから。
君は罪深い人間だ。残した物が多すぎるよ。思い出も言葉も瞬間も君を想う気持ちを全部どうして持って消えてくれなかったんだよ。あれ以上の幸せはないんだと実感させたいのかい?
いつ迎えに来てくれるの?あなたはいつまた、私を幸せにしてくれるの?お互いのためにした選択を私は耐えられそうにないんだよ。私の隣にはいない今の君へ 君は私の生活でした。愛してます。君がいないんだと想いたくはないから、今日も私は過去の君と過ごすよ。
おわり。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。