『異能力』というものが存在する世界で、異能を持つ犯罪者を取り締まる隊、『特殊制圧隊』。
彼らは街中である敵と交戦していた。
敵は、光を操る者だ。
しかし、この光が厄介だった。
敵が光の波動を放った時、それに当たったものはすべて、消失してしまうのだ。
特殊制圧隊隊員達も、その能力の厄介さに手を焼いていた。
そんな中、一人幸雅真は立ち向かう。
彼は唯一、この光に対抗できる能力を持っていた。
真の能力は読んだ本の感想やイメージを基に異能力を生み出す『輪廻』。
そのひとつ、『夜叉ヶ池』。
この能力は、龍神の力を宿す刀を呼び出す能力である。そしてこの龍神の力は、『ありとあらゆる異能力、妖力又はそれらでできたものをを消すことができる』力なのだ。唯一、同じ神の力は斬ることはできるが消滅はできない。
この光も、例外ではない。
しかし広域に降り注ぐ光の被害を抑えることはできない。
特殊制圧隊の頭脳・杉村雅幸は分析する。
真は依然戦闘を続ける。
その時、神能寺の周辺に光が集まり始めた。
瞬間、光が大地を覆い始める。
特殊制圧隊の面々が逃げるよりも速く、光が迫る。
そして、神能寺の一番近くに居た真はというと。
なんとか直撃は避けたものの、左脚を持っていかれていた。
真は片脚を持っていかれ、歩けない。
しかし奇跡的に、夏輝が乗っている、四神・朱雀の尻尾に捕まっていた。
そう言って、真は手を放した。
真の選択は間違っていない。
夏輝が逃げ切るためには足枷である自分を切り離すしかないのだ。
夏輝もそれを、わかっていた。
わかっていたから、止めなかった。
次の瞬間。
夏輝と朱雀を、桜の花弁が覆った。
真の異能力の一つ、『桜の森の満開の下』。
この能力は、桜の花弁を発生させ、それで包んだものを転送する、言わばテレポートである。
真が光に直撃しなかったのも、この能力のお陰だろう。
そして夏輝の姿が消失した。
その後を光が覆っていく。世界はみるみる内に、光で満ちてしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。