第6話

#5
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2021/07/06 06:28
阿部side
「ここか…………」
イメチェンするために佐久間から教えてもらったおすすめの美容室に到着した
佐久間のおすすめは深澤さんといって、とてもいい人らしい
事前に深澤さん指名で予約をして、あとは深澤さんと会うだけだ
カランコロン(ベルの音)
「すいません、16時に予約の阿部なんですけど」
店「阿部さんですね、少々お待ちください」
少ししたら綺麗な手をした茶髪の男性が来た
彼は恐らく深澤さんだろう、とても優しそうな雰囲気が漂っていた
深「本日はどのような感じにしますか?」
「前髪を切ってほしくて、あと茶髪にしてほしいです」
深「了解です、素敵に仕上げますので楽しみにしてください」
深澤さんはそう言うと早速僕の髪に手をかけ始めた
髪を切るのはとても上手く落ち着いた雰囲気をしているため、緊張していた僕は少し緊張がほぐれた
深「初めての方ですよね、なんで俺で予約してくれたんですか?」
「学校の先輩からおすすめされて、それで………」
深「へぇ~、君どこの学校?」
「さ、桜川高校です」
深「待って、桜川って俺の母校じゃん!」
「そうなんですか!?」
深澤さんが桜川高校出身なんて、今日一の衝撃だ
深「俺友達に超明るい子がいてさ、いつもそいつの元気さに助けてもらってたんだよね~」
「僕の仲がいい先輩も凄い明るくて、その明るさにいつも助けてもらってて」
深「やっぱり一年に一人はそういうやついるのかな」
「そうですね……。あの、自分語りいいですか」
深「いいよ、好きなだけ自分語りしちゃって」
「僕、学校で苛められてて毎日が苦痛でした。だけどある日その先輩と出会って毎日が前より楽しくなったんです、そしてその先輩からイメチェンした方がいいと思うって言われて。今日思い切ってここに来ました」
深「その先輩、超いい人だね。俺が君を素敵にしてあげるから、君は学校生活を今以上に楽しむんだよ」
深澤さんは優しくそう言ってくれて、なんだか佐久間と似てるように感じた
そして
深「はい、終わったよ」
「嘘…………」
眼鏡をかけて自分を鏡越しに見たとき、自分じゃない誰かのようで変な感じがした
深「君、前髪で隠れてたけど凄い可愛らしい顔してるじゃん」
黒髪だった髪は茶髪に、前髪で隠されていた目元はしっかり見えていた
深「またのお越しをお待ちしております」
僕のイメチェン計画、あとはコンタクトにするだけ
佐久間待ってて、明後日絶対に驚かせてあげるから

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