阿部side
あれから数ヶ月が経ち季節は秋
学校の紅葉も見頃となっている季節で、屋上には落ち葉が舞ってくることもよくある
僕が探している佐久間は、まだ現れてくれていない
目「阿部ちゃん、ここにいたんだ」
めめが僕に声を掛けてくれる
「なんでここにいるって分かったの?」
目「阿部ちゃんが行く場所といえばここかなって思っただけ」
そう言い僕の隣に座るめめ
めめの表情はとても優しくて、安心感があった
目「やっぱり佐久間先輩のこと忘れられない?」
「え?」
突然そんなことを聞かれて驚いてしまった僕に、めめは真剣な表情で話をする
目「俺、やっぱり阿部ちゃんを幸せにしたい。佐久間先輩のことが好きなのも分かるけど、阿部ちゃんがそんな悲しい顔してるの見たくない」
目「俺は絶対に阿部ちゃんに悲しい顔させない。俺、阿部ちゃんと付き合いたい」
真っ直ぐな瞳で告白してくれるめめを見て、僕はなんて幸せ者なんだろうという気持ちになる
こんなにも僕のことを想ってくれる人がいるのに、やっぱり佐久間を忘れることはできなかった
「めめ、やっぱり僕…………」
目「うん、そうだよね。阿部ちゃんの伝えたいことはよく分かる。佐久間先輩のこと、大好きなんでしょ?」
泣きながらもその質問に頷く
目黒の方が泣きたいはずなのに、なんで僕が泣いてるんだろう
「僕、佐久間に会いたい…………」
めめはそう泣いている僕の背中を擦ってくれた
ごめんねめめ、やっぱり佐久間のこと忘れられないや
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。