×回目の学級裁判前
後ろを向きながら僕に言う彼の声は微かに震えていた。
でも僕はその彼の少しの変化に気づくことが出来なかった
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【死体が発見されました】
プレス機で潰された、王馬くんか百田くんか分からない死体。
僕はそれが誰の死体か分かってしまった。
。
。
。
違う。百田くんは悪くない
あれは王馬くんのSOSだったんだ、
あれに気づけなかった僕がわるいんだ
。
。
。
裁判後、僕はプレス機の正面に腰をかけた
当然返事が返ってくることはない
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【王馬視点】
百田ちゃんと賭けをする時も
プレス機に横たわる時も
押しつぶされる寸前も
頭にいるのは××ちゃんだった。
。
俺がどんなに嘘をついて騙しても
××ちゃんは軽蔑したりしなかった。
。
俺がどんなに突き放しても
××ちゃんは優しく寄り添ってくれた。
すごいな××ちゃんは。
俺なら多分そんなこと出来ない
あぁ。プレス機の板がだんだんと降りてくる
。
。
××ちゃんとは普通に出会いたかったな
こんなコロシアイ生活なんてもので出会わずに。
普通に話したかった
普通に遊びたかった
普通の…
バイバイ××ちゃん。
グシャッ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。