第20話

ジョシュアと彼女ちゃん
1,621
2019/02/26 10:34
今日は私にとって今年一番と言っても過言じゃないくらい緊張する日。
それはバドミントン部の先輩方にとって最後の試合。


試合はダブルスで、私のペアは先輩のヘジン先輩。


私が今日のこの日のためにどれだけ努力してきたか。
優勝、準優勝したら大きな大会に出場できる。
だから先輩と一緒に最後まで勝ち進みたい。


私を必死になって応援してくれたジス。
真っ暗になるまで練習漬けの日々の中ジスと一緒に帰ることもできない。
でもそんな時は必ずカトクをしてくれるジスの思いやりに何度も励まされた。


だから今日は応援してくれたジスのためにも先輩のためにも頑張らないといけない。






〘あなた、後悔だけはしないように思いっきりこの試合を楽しもう。〙


『はい!!』


とうとう試合がやってきた。
試合は21点、2セット先取。先に2セット取ったほうが勝ち。


相手はバドミントンの強さは私達とほぼ同じレベル。
今までの練習の成果を出し切れば勝てる試合だ。気を抜かないで頑張らないと!



今日の朝もジスから着信がかかってきた。


『もしもし?』


「あなたいよいよ今日だね!大丈夫あなたは頑張った。全力を出し切ってね!」


『うん、ありがとう!私頑張る!』


「あと応援に行くから。でもあんまり探しちゃだめだよ?ㅋㅋ」


『わかったよㅋㅋ』
ジスの優しい声は思い出すだけでも緊張が少しほぐれてくる。



試合開始のホイッスルが鳴った。


試合が始まると私達の連携プレーのおかげで点数を連続で取ることができ、1セットを先取する事ができた。


コートチェンジをしてタイムが設けられた。


〘この調子でもう1セット頑張ろ!〙


『わかりました!』


ジス来てないかな………探しちゃだめって言われたけど誰だって探したくなるよね。


ギャラリーを探しているとジスを見つけ目が合う。お互い見つけ合うとジスが手を振り口パクで頑張れと言ってくれた。


同時にホイッスルが鳴り2セット目が始まった。


2セット目も最初は私達がリードしていた。
だけど相手の動きの速さに追いつけずに2セット目は相手側に取られてしまった。


今1:1の状態。その時は3セット目で勝敗が決まる。


3セット目。相手はほとんどがヘジン先輩にしか狙わずヘジン先輩も苦戦している。


『ヘジン先輩大丈夫ですか?』


〘大丈夫……焦らない焦らない…〙


その後も点数は相手側に取られる。


このままじゃダメだ。私はもっと先輩とバドミントンがしたい。

そう思って私は全力で相手と何往復もラリーを続ける。


点数を少しずつ取っていき20:20にまで追いついた。
その場合は延長ゲームになり30点を取った方が勝ちになるというのがルールだ。


この時、少し足首に違和感を感じたが気にせずに試合を続行した。
ヘジン先輩も気持ちを取り戻して29:28でやっと私達が点数を追い越した。




私の所に来たシャトルを返そうした時


『痛っ………!!』


さっきの足首の痛みが走り返せずに落としてしまった。
これで29:29ここで点数を取れなかったら負けてしまう。


〘大丈夫?〙


『すみません…今のは私のミスです。』


こんな事でへこたれてたらダメだ。
大丈夫、痛くない痛くない……



この試合最後のラリーが始まった。

ヘジン先輩も緊張して固まり気味だったその時ヘジン先輩の方にシャトルが飛んできた。


『ヘジン先輩!!』


〘はっ……!〙


やばい、負ける。
ふとそう思って私はヘジン先輩のところに飛んだシャトルを転びながらも打ち返そうとした。


『お願い!!』


ラケットに当たった……だけどネットにかかった。


点数は相手側。29:30私達は負けた。



『う…嘘でしょ…』


悔しさと急な悲しさが襲い、涙が大量に溢れ出てくる。
でも足首は最悪。動けることもできなく私はコートの中で泣いた。


ヘジン先輩泣きもせずにコートを立ち去った。
私のせいだ。もしかしたらヘジン先輩が取れてたら勝ててかもしれない……


[大丈夫ですか?]

救護員の人が来てくれ控室まで連れてってくれる。


そこからはよく覚えてない。
だけどただ泣いてただ足首が痛んだ。


ジスもせっかく応援に来てくれたのに。良いところ全然見せれなかった。


優勝したチームは私達が戦った相手。勝てそうだった相手に私の目標の場所をあっけなく取られた。



いつの間にか時間も経過し大会も終わった。


[帰り、お迎えなど呼びますか?]

救護員の方がそう言う。
幸い軽い捻挫だった。迎えなんか呼べる資格などない。


『大丈夫です…』

駅のホームのベンチに座って電車を待つ。
皆私を避けてるかのようにホームには誰もいない。


『私なんかとペアなんて組まなければ……先輩は……』

そう言いまた泣いた。






「なんであなたがそんなに泣くの?」


そう言って私の隣に座ってきたのは誰でもないジスだった。


『ジス………』


「あなたは一生懸命に頑張ってた。泣いていいのは頑張った人だけだよ。だから思いっきり泣きな。あなたは何も悪くない。」


そう言って肩ごと抱き寄せてくれる。
人がいないとしてもジスが着てたジャケットで泣いてる私を隠してくれる。


すると


〘オッパ〜いま試合終わったよ〜♡負けたんだけどさ、私とペアの後輩が私が取らなきゃいけないシャトル取ってきて負けたの!ほんと邪魔だった〜本当最悪。〙


〘んじゃあ、また後でね〜♡〙


この声はヘジンさん。邪魔だった、最悪と恐らく彼氏であろう人物に電話で悪口を叩いていた相手は私だろう。


「あなた、ちょっと待ってて。」


そう言ってジャケットを脱いで私に被せると席を立ち、どこかに行ってしまう。


「あの。」


〘あら、あなたの彼氏じゃない。もしかしてさっきの話聞いてた?ㅋㅋ〙


「まあ今回の試合負けて当然でしたよ。」


え?さっきまでの優しさは…私にかけてくれた言葉は何だったの……?


〘やっぱり?あなたの彼氏さんも分かって……〙


「部活にも行かないで男と遊んでる人が試合に勝てるわけ無いですよね。」


〘えっ……?〙


「今日の試合あなたはあなたのせいで負けたとか言ってますけど試合見てる僕からしたら全然取れてなくて動けなかったのはあなたじゃなくてあなただと思うんですけど?」


「あなたはあなたとは違って放課後も熱心に練習してました。これでも邪魔だって言えますか?」


〘…………。〙


「何も言い返せないなら早くあなたに謝ってください。」


するとヘジン先輩が私の所に来た。


〘ごめん…なさい……悪いと思ってる…〙


『ぜ、全然大丈夫です!先輩とバドミントンできなくなるのは悲しいけど今まで楽しかったです!』


そう言うとヘジン先輩は一礼して到着した電車に乗って行った。




『ありがとう…ジス。』





私達も電車乗る。

電車に乗ってる時も私は座り、目の前の吊り革にジスがいる。

「あなたジロジロ見すぎ!ㅋㅋ」


『だってかっこいいんだもん!ㅋㅋ』


電車を降り歩いてる途中足首が痛くなったことに気付いたのか


「あなた、はい。」

そう言って私の方に背中を向けてかがんでくる。

『んじゃ、お言葉に甘えてㅋㅋ』


「あなた?」


『ん?』


「あなたにはこの先もバドミントン続けてほしいんだ。」


『もちろん。続ける気だよ?だからこの先もジスと一緒に帰る事あんまりできないかもしれない…』


「俺の事は全然気にしないで!俺結構あなたがバドミントンしてる所好きなんだ。」


『なんか変態みたい……ㅋㅋ』


「ひどいな〜ㅋㅋ」


『ジスいい匂い…なんか眠くなってきた。』


「寝たら、俺の家連れてって寝込み襲うからね?ㅋㅋ」


『やだ!!』

そう言いながらも目を閉じて寝る気満々な私も結構な変態なのかもしれない……。


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