アラームが鳴るのが聞こえて
眠たい目を擦りながらゆっくり開けると
隣にあなたはいなかった…
そっか…何も言わずに出て行っちゃうんだ…
確かに黙って出ていきそうな感じのやつだもんな。
俺は何でかわからないけどすごい悲しくて
心が締め付けられるような気持ちがした
別に好きとかそんなんじゃないし
昨日たまたま出会ったムカつく女…だったけど
ちょっと変わっててなんかほんと面白くて
あいつのおかげで久しぶりにたくさん笑えた気がした
なんて考えながら
起き上がってベッドの上でぼーっとしていると
ガチャッ
玄関の扉が開く音がした
スタスタスタスタ
ガチャッ
こっちに歩いてくる音がしてリビングの扉が開いた
俺の目の前にはあなたがいた
手に下げてたレジ袋を机に置いて
俺の方へ歩いてくる
あなたはそう言って袋からなにかを出す
その後もあなたは机にいろいろ出していく
鮭のおにぎり
と
大量のグミ…
って…
え?
え?
そう言うとあなたは黙って俺から目を背けた
髪を耳にかけながら恥ずかしそうに話す
こいつが俺のことを思ってなんかしてくれた
それだけでなんかすごく嬉しくなった
自然とにやけてしまう
俺はあなたに言われた通り準備をはじめた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!