第14話

No.13
3,094
2021/02/23 10:23




アラームが鳴るのが聞こえて



眠たい目を擦りながらゆっくり開けると




隣にあなたはいなかった…



渡辺翔太
え…
あなた…?


そっか…何も言わずに出て行っちゃうんだ…



確かに黙って出ていきそうな感じのやつだもんな。



俺は何でかわからないけどすごい悲しくて



心が締め付けられるような気持ちがした



別に好きとかそんなんじゃないし



昨日たまたま出会ったムカつく女…だったけど



ちょっと変わっててなんかほんと面白くて



あいつのおかげで久しぶりにたくさん笑えた気がした




なんて考えながら


起き上がってベッドの上でぼーっとしていると













ガチャッ











玄関の扉が開く音がした











スタスタスタスタ












ガチャッ










こっちに歩いてくる音がしてリビングの扉が開いた












あなた
あっ!渡辺翔太
起きましたか。
渡辺翔太
え…




俺の目の前にはあなたがいた







手に下げてたレジ袋を机に置いて





俺の方へ歩いてくる






あなた
この家食べるものなんもなくて
とりあえず適当に買ってきました
何が好きなのかわからないので
気にいるかはわかりませんけど。




あなたはそう言って袋からなにかを出す




渡辺翔太
コーンフレーク…
あなた
これ好きなんですか?
渡辺翔太
うん!それ食べる!
あなた
年上のくせに意外と子供なんですね
渡辺翔太
べつにいいだろ!笑


その後もあなたは机にいろいろ出していく





鮭のおにぎり







大量のグミ…




って…




え?


え?







渡辺翔太
ねぇ、なんで、
なんで、なんで、
知ってるの?
あなた
何がですか?
渡辺翔太
いや、だって俺の好きなものじゃん




そう言うとあなたは黙って俺から目を背けた



あなた
しらべ…ました
渡辺翔太
え?
あなた
昨日は泊めてもらいましたし
なにかお礼をと思ったんですけど
わたし渡辺翔太のこと何も知らなくて
それでネットで調べたらグミが好き
とか書かれていたので…




髪を耳にかけながら恥ずかしそうに話す






渡辺翔太
ありがとう  ニヤニヤ



こいつが俺のことを思ってなんかしてくれた



それだけでなんかすごく嬉しくなった



自然とにやけてしまう






あなた
大丈夫ですか?
渡辺翔太変な笑顔ですけど。
渡辺翔太
うるさい!笑
てか、渡辺翔太じゃないだろ?
俺のことなんてよぶの?
あなた
し…しょ…しょうた
渡辺翔太
えっ
あなた
さん
渡辺翔太
さん
つけんのかよ!!笑
あなた
そんなことより早く食べて
用意したほうがいいですよ
渡辺翔太
うわっ!ほんとだ!





俺はあなたに言われた通り準備をはじめた



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