第62話

No.61 崩壊
2,194
2021/03/11 04:12




まだデビューしてないのに




環境や周りが変わりつつあって




それに着いていくのに必死で




楽しいこともたくさんあるけど



やっぱりしんどくて大変なことが多かった




今からこんなんだったらデビューしたら





どうなるんだよ…





そんな思いが込み上げる






デビューまであと2ヶ月と少し





ジュニアとしての最後の仕事






全てを成功させたい






でもそんな思いに体が思うようについていかない




あんだけ仲良く楽しくやってきたあなたとも



どんどんとすれ違いが増えて距離が空いてくる









毎晩帰るのが遅くなり家に着くとあなたは寝てる




一緒に家で過ごす時間がなくなり会話も無くなった




でも、夜遅く家に帰ると必ず




テーブルには俺の晩御飯が置いてある



起きると必ず朝ごはんが置いてある



サプリメントや青汁、喉に効くドリンク




全て用意が揃ってて





あなたはどんな時も完璧で







嬉しいはずなのに






それが無性に嫌になってくる




器用にこなせない自分と比べて






なんでもできてしまう彼女がムカつく…







あなたに嫉妬さえ覚えた










思い返せば俺は何度も相談したり




弱いとこ見せたりしてきたのに




あいつは俺に何も言ってくれない





それに気付いて"なんで?"っていう思いと





同時にイラつきや悲しさが押し寄せる





こいつは俺のこと必要じゃないのかな





俺が求めるから居てくれるだけなんじゃないか







いろいろ考え出すと余計にイライラが溢れてきて






それが態度に出てしまっていた









あなたが作ってくれたご飯は食べなくなり





仕事が早く終わっても家にはすぐに帰らなかった






俺はあいつを避け始めた…












そんなある日







0時を回ってから家に帰ると




あなたが俺の帰りを待っていた






あなた
おかえり! ニコッ
渡辺翔太
起きてたんだ
ただいま



冷たくそう言って彼女を横目でチラッと見た





あなた
最近毎日遅いね、お疲れ様。
ご飯しようか?お風呂いく? ニコッ



いつもの笑顔で俺を見てくる




渡辺翔太
風呂行くわ



あなたを避けるように風呂場に逃げた




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