バタバタしながら俺は準備をする
どんなに忙しくても朝のルーティンは絶対にかかさない
あなたは静かに俺の行動一つ一つを
目で追いかけてじっと見てくる
俺は合鍵を渡した
そう言ってテーブルのグミと鮭のおにぎりを持ち
廊下へと歩き玄関に向かう
俺の後ろをゆっくりと、あいつはついてくる
ほんとこいつ かたいんだよな
かたいってゆうかロボットみたい
淡々と話して表情も変えないから感情が、見えない
長い髪の毛を耳にかけながら下を向く
俺、何言ってんだ
今こいつになんて言った…
自分の言葉にびっくりしていると
彼女の鋭い言葉で現実に引き戻される
言うと思った…
ただなんだろ
こいつがいなくなるかもって思ったら寂しい気がして
たった1日、一晩だけ一緒に居た
それだけなのに
こいつをやっぱりほっておけなくなった
あなたはしぶしぶ携帯を出して
俺は自分の連絡先を入れた
そう言って俺はあいつからの返事を聞かず
玄関を出た
少し強引だったかもしれない
でもここに居たらいいじゃん
って思ってる自分がいて
昨日出会った時はあんだけムカついてたのに
いまは不思議とあいつともっと話したい
笑顔が見たいそう思っていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。