なにかあったわけじゃない
なにかされたわけじゃない
ただ無性にあいつがウザく感じた
倦怠期っていうのがこれ?
そんなことを思いながら風呂を出た
リビングに戻るとあいつはベッドに居て
もう寝てるようだった
テーブルを見るといつものように俺のご飯が
置いてあった
小さくそう言い俺はソファで寝た
朝になっていたみたいであなたの声で目を覚ます
そう言いバタバタと仕事の準備をしながら
俺に向かって話してくる
寝起き早々、気付けば俺はでかい声で怒鳴ってた
彼女はびっくりした目で俺を見て動かないでいる
なにも答えずベッドに行き布団に潜った
そのあと玄関の扉の音がしてあなたが
仕事に行ったのがわかった
昼過ぎになり俺も仕事に向かう
舞台の練習をするけど
うまくいかない
思ってるように体も動かないし声も出ない
やらなきゃ、出さなきゃ、ちゃんとしないと
そう思えば思うほど出来なくて
底無し沼に落ちた気分で
メンバーにも当たってしまった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!