第123話

No.122 初めて
1,946
2023/03/16 03:49
あなたside






蓮が




帰ってくるなり




急に抱き締めてきた




息を切らしておでこに少し汗が光ってた




何でかわからないけど走って帰ってきた



みたいだった





目黒蓮
どこにも行かないで…



少し震えながら悲しい声でそう言われ




それを聞いて胸が痛くなった




付き合う前、




タイから帰ってきた時も



こんなことあったな…




そう思いながら



わたしは蓮の背中をさすって抱きしめた





あなた
どこにも行かないからね
蓮のそばにいるからね




そう言うと蓮は落ち着いたようで





"急に寂しくなっただけ"




なんて言うけど






きっとそうさせてるのはわたしだ。




急に寂しくさせたり不安にさせたり




そう思わせてるのはわたしが原因…






ご飯の用意をするためにキッチンとリビングを




往復してたら蓮はボーッと見つめるように



こっちを見ててその視線の先は




わたしの左手の小指



ピンキーリングだった…






今日、仕事場でなにかわたしの話出たんだろな。




翔太とわたしの話しかな…









このままいつまでも蓮に





甘えてばっかりじゃダメ…だよね。





ちゃんとけじめつけるか。






二人でご飯を食べて



蓮がお風呂に入ってる間に片付けをして



わたしもお風呂に入って上がったあと








鏡の前に立ち、スキンケアをしながら




今の自分を見つめて





鏡に向かって頷いてから










わたしは左手の小指に



ずっとはめてたピンキーリングを外した



両手で指輪を ギュッ と握り心の中で





"翔太、ほんとに今までありがとう。

ちゃんと蓮だけと向き合います。

翔太も幸せになってください

バイバイ…"






そう言って



"カラン…"




アクセサリーケースに入れてそっと閉まった







そしてベッドで寝転んでYouTubeを見てる



蓮のところに向かった。




目黒蓮
んっ…
もう寝る?


そう言ってわたしの入る




スペースを開けてくれる。





こんなにかっこよくて優しくて



わたしのこと考えてくれる



大切にしてくれる人



蓮だけ…






だから、、、






わたしも、、、








今日からは蓮だけ…














わたしは蓮が手に持ってる携帯を奪って



ベッドの上のふちに置いた











目黒蓮
えっ…?



蓮の低い声が部屋に響き



わたしを覗き込んできてびっくりしてた…





蓮の両頬にそっと手を置いて




自分の顔を少し傾けて




微笑んでからゆっくりと近付けた










チュッ…






唇がそっと触れる





一瞬だけの





キスを






した。















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