第3話

水色の飴
93
2021/08/04 10:29
平日〜筋肉育成授業〜
バルガス
いいかぁ?!
魔法は筋肉からなっているっ!!
バルガス先生の口癖だ
昼下がり、おそらく30度は超えているであろう気温と肌を刺すような日光の中バルガス先生の話にグラウンドに座り耳を傾けていた
多分みんな意識は飛んでいる
you
you
(早く終わんないかなぁ、)
グラウンドの草をいじりながら回りを見ていると
キラッと光る何かを見つけた
you
you
(眩しっ)
顔を顰めしかめ目をよくこらすと見覚えのあるひし形のピアスが見えた
you
you
(ジェイド先輩…?)
いや、違う
タレ目で…ピアスを右耳につけている
you
you
(あ、フロイド先輩…!)
オッドアイで輝くガラス玉のような目はこちらに向いていた
you
you
(こっちみてる…)
フロイド先輩は笑顔で首を傾け手を小さく振っている
まるで幼稚園児のようだ
you
you
(可愛い…♡)
あなたも小さくフロイド先輩の方へ手を振った
フロイド先輩は満面の笑みでこちらを向いている
バルガス
それでじゃあ!みんな張りきって今説明した事をやってみろ!
you
you
…!!
いつの間に話が終わったのだろうかフロイド先輩とのやり取りで全く聞いていなかった…
一体何をすればいいのだろう…
とりあえず周りを見て見ればわかるだろうと少し遠くを見た瞬間…
バリバリッッ!!!と雷の鋭い音が耳を刺した
you
you
…ひぁっ…!!!
驚きのあまり腰が抜け、ドサッと座り込んでしまった
一気に天気は悪くなり雨も土砂降りだ
みんな混乱して校舎の方へ走っていく
you
you
(どうしよう…)
you
you
(腰が抜けて歩けない…!)
you
you
う、動けっ
you
you
立て!このへっぴり腰めっ!
バシッと自分の腰を叩いた時、右の手首から激痛が走った
you
you
い゛…?!
…最悪だ、
後ろに倒れた時手首を捻挫したようだ
ジャージが水を吸って重くなり、手を着くと痛い
みんなはこちらに気がつく様子もなく走っていく
ゴロゴロッ!!!っと雷が再びなる
you
you
ひぃっ…!!!
怖さと痛さと悔しさで涙まで出てきた
you
you
……っ…誰かっ…!!
たまらず誰かの名前を呼ぼうとしたその瞬間フワッと体が浮かぶ感覚がした
体が上下に揺れる…きっと誰か抱えて走ってくれているのだろう
???
なにやってんの?!
聞き覚えのある声に上をむく
you
you
…っ…フロイド先輩っ……!
フロイド・リーチ
うわっ?!なんで泣いてるわけ?!
you
you
…怖゛ぐでっ…立゛でなぐで…っ!!
フロイド・リーチ
…走るよ!ちゃんと掴まって!
you
you
うぅ、
ギュッとフロイド先輩にしがみついた
フロイド先輩のTシャツから先輩の匂いがする

右の手首が悲鳴をあげているがそんなのどうでもよかった
フロイド先輩が頼もしくて、かっこよくて。


そのあとは保健室へ行き、手首にサポーターを巻いてもらった

腰は戻り立てるようにもなった
you
you
あの、どうしてこんなものが、
フロイド・リーチ
バスケしてる時に手首捻挫たまにあるから持ち運んでるだけぇ
you
you
…そうですか…
フロイド・リーチ
…ん?小エビちゃん元気ないねぇ、どうしたのぉ?
you
you
…すいません…
フロイド先輩のジャージ、
フロイド・リーチ
いいよォ別に
you
you
……カッコ悪かったですよね、私…
フロイド・リーチ
…なんでぇ?
you
you
雷、怖くて腰抜けちゃって、
みっともないですよね、
フロイド・リーチ
……
you
you
フロイド先輩とは違くて、臆病で
フロイド・リーチ
そうかなぁ?
you
you
…え?
フロイド・リーチ
俺だって怖いものはあるよォ?
フロイド・リーチ
アズールも俺が任務しないと、ちょー怒って怖いし
フロイド・リーチ
ジェイドもキノコばっか食わせてきてうざいし怖いし
フロイド・リーチ
何より人間界ってオバケ?とかゆうやついるんでしょ?そっちの方が怖いしぃ?
you
you
…っぷ…
フロイド・リーチ
あぁ?笑ったなぁ?
you
you
…ククッごめんなさい…ククッ
you
you
お、お化けって…ハハハッ
フロイド・リーチ
いいじゃん別にぃ?俺だってこんなに怖いもんあるんだからさ
you
you
…そうですね!
you
you
こんなにめそめそしてたらお化けにも勝てませんねっ!
くるっと先輩の方を向き、ニコッと笑ってみせる
you
you
ありがとうございますっ!
おかげで元気出ました!
フロイド・リーチ
……っ
ガチャっと扉を開け1歩出ようとした
you
you
それでは!ありがとうございまs
フロイド・リーチ
小エビちゃんっ
途端、ぐっと腕を引っ張られた
you
you
…え?
フロイド・リーチ
…あ、ごめ…!
you
you
どうしたんですか?
フロイド・リーチ
…あ、そうだ、あ、飴!
you
you
え?
フロイド・リーチ
これ!元気出るから!
手のひらに置かれたのは水色の綺麗なキャンディだった
you
you
…可愛い…!
フロイド・リーチ
え、あそう?
you
you
はい!ありがとうございます!
you
you
それでは!
パタパタとドアを出て廊下を小走りで移動した
you
you
キャンディ、、勿体ないな、
ギュッとポケットの中にキャンディを握り入れた
〜フロイドside〜
怯えた泣き顔…
見た時ギュッと胸を締め付けられた
決して俺のせいで泣かせてはいけない
そして、あの軽い体を持った時決意した
俺は…あの子、小エビちゃん…いや、あなたを守らなければならないと
フロイド・リーチ
マジで、なんでこんなに苦しいの…?

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