平日〜筋肉育成授業〜
バルガス先生の口癖だ
昼下がり、おそらく30度は超えているであろう気温と肌を刺すような日光の中バルガス先生の話にグラウンドに座り耳を傾けていた
多分みんな意識は飛んでいる
グラウンドの草をいじりながら回りを見ていると
キラッと光る何かを見つけた
顔を顰め目をよくこらすと見覚えのあるひし形のピアスが見えた
いや、違う
タレ目で…ピアスを右耳につけている
オッドアイで輝くガラス玉のような目はこちらに向いていた
フロイド先輩は笑顔で首を傾け手を小さく振っている
まるで幼稚園児のようだ
あなたも小さくフロイド先輩の方へ手を振った
フロイド先輩は満面の笑みでこちらを向いている
いつの間に話が終わったのだろうかフロイド先輩とのやり取りで全く聞いていなかった…
一体何をすればいいのだろう…
とりあえず周りを見て見ればわかるだろうと少し遠くを見た瞬間…
バリバリッッ!!!と雷の鋭い音が耳を刺した
驚きのあまり腰が抜け、ドサッと座り込んでしまった
一気に天気は悪くなり雨も土砂降りだ
みんな混乱して校舎の方へ走っていく
バシッと自分の腰を叩いた時、右の手首から激痛が走った
…最悪だ、
後ろに倒れた時手首を捻挫したようだ
ジャージが水を吸って重くなり、手を着くと痛い
みんなはこちらに気がつく様子もなく走っていく
ゴロゴロッ!!!っと雷が再びなる
怖さと痛さと悔しさで涙まで出てきた
たまらず誰かの名前を呼ぼうとしたその瞬間フワッと体が浮かぶ感覚がした
体が上下に揺れる…きっと誰か抱えて走ってくれているのだろう
聞き覚えのある声に上をむく
ギュッとフロイド先輩にしがみついた
フロイド先輩のTシャツから先輩の匂いがする
右の手首が悲鳴をあげているがそんなのどうでもよかった
フロイド先輩が頼もしくて、かっこよくて。
そのあとは保健室へ行き、手首にサポーターを巻いてもらった
腰は戻り立てるようにもなった
くるっと先輩の方を向き、ニコッと笑ってみせる
ガチャっと扉を開け1歩出ようとした
途端、ぐっと腕を引っ張られた
手のひらに置かれたのは水色の綺麗なキャンディだった
パタパタとドアを出て廊下を小走りで移動した
ギュッとポケットの中にキャンディを握り入れた
〜フロイドside〜
怯えた泣き顔…
見た時ギュッと胸を締め付けられた
決して俺のせいで泣かせてはいけない
そして、あの軽い体を持った時決意した
俺は…あの子、小エビちゃん…いや、あなたを守らなければならないと
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。