第69話

頼みの綱
17,648
2018/08/25 22:23
あなた

っ、…

『ザブンッ、、』

水の中に沈んでいく私の身体。
注射をされた腕を押さえるのに精一杯で泳ぐなんて出来もしなかった。

と、身体にピンク色の物体が巻き付く。
そして、すごい速さで引っ張られた。

水面に顔を出すと、生徒3人が居た。
蛙吹 梅雨
あなたちゃん、大丈夫?
峰田 実
おい、おい、血まみれじゃねーか!!
緑谷 出久
大丈夫、木奥さん?!
あなた

うん。それよりも、3人は何してるの?

緑谷 出久
出来ることをしようと思って、来たんだけど…
あなた

何してるの、早く扉の方に行かないと!

と、黒いもやが再び死柄木弔の近くに現れる。
黒霧
生徒を1名、逃しました。
死柄木 弔
あぁ、ゲームオーバーだ。仲間を呼ばれた。プロヒーローがたくさん来ても面倒だ。…ゲームオーバーだ、帰ろう。
ヘロイン
カエル、ノ、カ?
峰田 実
あいつら、今、帰るって言った!言ったよな!
蛙吹 梅雨
ケロ、それに誰かが助けを呼びに行ったって事は、先生達が来るという事ね。
峰田 実
オールマイトが来たらこんな奴らすぐに
あなた

オールマイト、ね。

緑谷 出久
木奥、さん?
あなた

オールマイトは、みんなが思っているほど有能なヒーローじゃないよ。助けになんか来ない。平和の象徴だ、なんてチヤホヤされちゃってさ、すごいむかつく。

緑谷 出久
木奥…さん??、
あなた

私、デクくんに嘘ついた。ごめん。私、本当はね、オールマイトが馬鹿みたいに大嫌い。だからさ…そんなにオールマイトを頼みの綱みたいにしないでよ。

全員
あなた

ごめん、一方的に喋りすぎた…

峰田 実
と、とりあえず、帰ってくれんならいいじゃん!
3人は視線を死柄木弔に戻した。
私は水面を見つめているだけ。


(あぁ、こんな時に言うことじゃなかったのに。)


少しの後悔が私の心を刺す。
そして、その後悔がさらに私を追い詰めるのを私はまだ気づけていなかった。

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