(あ"ぁ??)
高校生、大学生ぐらいの男数人に囲まれたあなたは「ははは…」と苦笑を浮かべた。
(チッ…アイツ何してんだ? 俺が目離した隙にこれかよ。)
(…じゃぁ、俺は何なんだ。)
アイスを持つ手に力が入り、胸が妙にざわつく。
『ガシッ』
俺はそうほざく男の肩を掴むと、こちらに向かせる。
あっという間に男共があなたから引き剥がされ、何処かへと消えると、俺はあなたにアイスを手渡す。
ワゴン車周りの臨時席がいっぱいになっているのを後にして、ショッピングモールの出口へと足を進める。
夕方になって、昼よりか人が減ったとはいうものの、依然として人が多い事には変わりはない。
『デク』の言葉があなたの口から出た瞬間、あからさまな不機嫌な態度が俺を覆った。
そうだった、
こいつはクソナードの事が好きだったんだな。
今朝から誰の邪魔も無く、あなたを独り占め出来ていたという感覚のせいですっかり忘れていた。
俺の中でのその感覚は、少しずつ解かれ始める。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!