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あなたを家に連れ帰り、着替えさせた後、いつかの下校中に見たショッピングモールに電車に乗って向かう。
(確か半分野郎の話をしたな…)
ふと思い出した途端、隣のあなたが写りゆく車窓からの景色を眺めるのに目が言ってしまった。
そして、その背景に部屋にあった青いバッグと例のコスチュームを思い出す。
(………)
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昼飯を食った後、ババアが頼んだ例のキッチン用品の使いを済ませる。
午後からに近かったというものの、あなたは充分に満喫出来たらしい。
表情をころころ変えながら、色々な商品や店を見ては喜んでいた。
エスカレーターに乗っていると、前に立っていたあなたが振り向き、長蛇の列を指差す。
その長蛇の先には1台のワゴン車が止まっていた。
造花や旗、ぬいぐるみや玩具の飾りをあしらい、かなりファンシーにデザインされている。
エスカレーターを下りると、側にワゴン車の物と思われる立て看板に目を通す。
あなたが立て看板に描かれたチョークテイストのアイスの絵を見ている間に、俺は腕時計を確認した。
(まぁ、15時にしては、ちょっと遅いか…)
俺は何歩かワゴン車に足を進めたところで、不安になって振り返る。
俺は鼻で笑うと、手を振るあなたに背を向けて再びワゴン車に向かった。
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暫くして、コーンに乗ったアイスを店員から受け取ると、元の場所まで戻る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!