第196話

爆豪 勝己side
9,937
2019/10/13 09:52






あなたを家に連れ帰り、着替えさせた後、いつかの下校中に見たショッピングモールに電車に乗って向かう。


(確か半分野郎の話をしたな…)


ふと思い出した途端、隣のあなたが写りゆく車窓からの景色を眺めるのに目が言ってしまった。
そして、その背景に部屋にあった青いバッグと例のコスチュームを思い出す。


(………)
爆豪 勝己
…チッ。
あなた

?!






昼飯を食った後、ババアが頼んだ例のキッチン用品の使いを済ませる。

午後からに近かったというものの、あなたは充分に満喫出来たらしい。
表情をころころ変えながら、色々な商品や店を見ては喜んでいた。
あなた

勝己っ、

爆豪 勝己
どうした?
あなた

凄い列だね、何だろう?

エスカレーターに乗っていると、前に立っていたあなたが振り向き、長蛇の列を指差す。
その長蛇の先には1台のワゴン車が止まっていた。
造花や旗、ぬいぐるみや玩具の飾りをあしらい、かなりファンシーにデザインされている。

エスカレーターを下りると、側にワゴン車の物と思われる立て看板に目を通す。
爆豪 勝己
アイスだな。
あなた

アイス?

爆豪 勝己
ん。
あなた

へぇ、人気なんだね。でも、可愛いもんね。

あなたが立て看板に描かれたチョークテイストのアイスの絵を見ている間に、俺は腕時計を確認した。


(まぁ、15時にしては、ちょっと遅いか…)
爆豪 勝己
あなた、
あなた

ん?

爆豪 勝己
ちょっとこれ持っとけ。
あなた

うん、良いよ。ごめんね、今まで持ってくれて。ありがとう。

爆豪 勝己
おう。で、何がいい?
あなた

え?

爆豪 勝己
味、アイスの。
あなた

い、いや、

爆豪 勝己
ごちゃごちゃ言ってると、勝手に決めんぞ。
あなた

…い、苺がいいです。

爆豪 勝己
ん。
俺は何歩かワゴン車に足を進めたところで、不安になって振り返る。
爆豪 勝己
おい、変なやつについて行くなよ?
あなた

分かってますよ!そんな小さい子じゃないですよ、私。

爆豪 勝己
ハッ…どーだか。
俺は鼻で笑うと、手を振るあなたに背を向けて再びワゴン車に向かった。







暫くして、コーンに乗ったアイスを店員から受け取ると、元の場所まで戻る。
爆豪 勝己
おい、あなた、
ごめん、今暇?
あなた

あぁ…えっと、人を待ってる途中です。

そうなんだ、ちょっと一緒に話しない?
あなた

えっと…心配かけちゃうので、やめておきます。

そう言わずにさ。その子が来るまで。ね?
お友達なんでしょ?なんなら、その子来てからでも一緒に俺達とお話してみない?

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