第134話

常闇くんと私の約束
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2019/06/12 12:15
(常闇くんはすごいなぁ…)


今まで話したことがあまり無かった常闇くんが、こんなに強い人だったなんて思わなかった。

クールで、冷静で。
でも、誰かの欲す優しさをくれる。
常闇 踏陰
だから、木奥もそんなに重く考えなくていい。自分のペースでゆっくり進め。
『プーーーーッ』


常闇くんの言葉と重なるように、実習スタートのサイレンが鳴った。


(なんだ、怖いものって、皆に有るんだ。)


ゆっくり立ち上がる常闇くんの横顔を私はじっと見る。


(少なからず、私だけじゃなくて、常闇くんも一緒なんだ。)
常闇 踏陰
攻めに行くか?
あなた

そだね。

しゃがんだ私を見下ろす常闇くんが、手を差し伸べる。

自分の力を改めて考えた後だから、
誰かの手を握るのが久しぶりに怖くなった。


(怖い、怖い、怖いけど…)


『ギュッ』
あなた

進まなきゃ、だね。

常闇くんが伸ばしてくれた手を、私はしっかりと握り返す。
そして、それを頼りに立ち上がった。

私の言葉にクールな彼の表情には一瞬、「?」の表情が見えた。
常闇 踏陰
? あぁ。
あなた

常闇くん、ありがとう。だいぶ前向きになれた。焦るのはやめにする。自分のペースで皆に追いつけるように頑張る。

常闇 踏陰
あぁ。木奥はそのままでいい。
あなた

常闇くんはきっと良いヒーローになれるね。私、救われたもん。

常闇 踏陰
そうなれるよう、俺も努力する。木奥の背負いすぎた物が、少しでも下りたなら良い。
あなた

…常闇くんが、何かあった時、今度は私が常闇くんを助けれる様になる。

常闇くんの2つの瞳が私をとらえて、離さなかった。

それは私も同じで、常闇くんの目を見つめて、決して離すつもりなんて無かった。
あなた

いや、助ける。

常闇 踏陰
……木奥なら、任せられそうだな。
あなた

本当に?

常闇 踏陰
確信は無いがな。
あなた

ですよねー…。

常闇 踏陰
でも、………頼む。
あなた

…うん!

私はコスチュームの裾等に着いた、微かな汚れを払った。
あなた

じゃ、常闇くん、

常闇 踏陰
行くとするか。

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