第201話

私だけの都合のいい夢
9,825
2019/11/04 21:46
目を覚ますと、そこは何度か見た天井があり、
あなた

…え、

どう見てもそこは勝己の家の中だった。
光己さん
勝己ー、あなたちゃん起こしてあげてー?
爆豪 勝己
んな事分かってるわ、
光己さんと勝己の会話が階下から聞こえる。
勝さんの毎朝のコーヒーの匂いが、空気にほんのり溶けている気がした。

『トントントントン…』

近づく足音が私の部屋のドアの前で止まる。
爆豪 勝己
おい、あなた、起きてんのか?
あなた

っ…///

勝己の声に乗せられた私の名前に、私は顔を赤らめる。


(い、いつ、雄英高校から勝己の家に戻ったっけ?てか、そもそもまだ夢の中…?!)


二の腕をつねると、普通に痛かった。


(えっ…と、今は夢じゃない。なら、いつ、勝己の家に戻ったんだっけ…?)



私はとんでもない夢を見た。


わざわざ勝己を召喚したうえに、

ジッパーやヘロインの手等の何の不安も感じず、久しぶりに外を楽しんだ。

ショッピングモールに連れて行ってもらい、
服を選んだり、
一緒にお昼やアイスクリームを食べたりと、

『普通』に日々を楽しめたと思う。


そして、勝己に欲しい言葉を欲しいだけ貰った。




そんな私だけの、


私だけが都合のいい夢を見た。
爆豪 勝己
あなた?

(へ、返事!返事しないと!)
あなた

あ、うん!起きてるよ!すぐに着替えてリビングに行くから!

私は慌てて丁寧に部屋に掛けられた制服を手に取ると、部屋着を脱ぎ、ブラウスの袖に手を通す。
あなた

だから、大丈

『ツルッ…ドタッ!』
爆豪 勝己
あなた、大丈夫か?
自分が脱いだ服に足を滑らせ、尻もちをついた私はすぐにドアの方に振り向く。
あなた

だ、大丈

『ガチャッ』
あなた

夫…

爆豪 勝己
着替えの途中にも関わらず、大きな物音がした事に心配だったのか、ドアを勢いよく開ける勝己。
あなた

爆豪 勝己
暫くお互いの目が合ったままの沈黙が流れる。
爆豪 勝己
か、鍵かけろや!!!//
あなた

ま、待って?!これは不可抗力だよ?!それに鍵付いてないよ!



あなた

あ、あの…勝己、

爆豪 勝己
あ?
あなた

皆にどんな顔して会えばいい…と思う?

雄英高校内の広い廊下を歩く途中で、勝己の背に話しかける。
あなた

爆豪 勝己
んなもん、普通に会えば良いだろ。
あなた

いや、そうなんだろう…けど…

爆豪 勝己
ごちゃごちゃ言ってたって仕方ねぇだろうが。行くぞ。
あなた

う、うん…

プリ小説オーディオドラマ