第146話

氷の崖の上で
11,389
2019/06/24 15:17
『カチカチカチカチッ…』

下から氷柱が何本も出てくる。

私はその上を移動しながら、少し高い氷柱の上に立っている轟くんを目指す。
轟 焦凍
っ、
ようやく前まで来ると、轟くんの手が私の方へと伸びる。
私はしゃがんで足を払い、その速度で一回転したうえで、轟くんの肩口に蹴りを入れる。

あくまで蹴り。

少しでも手に触れたらと思うと、怖い。

数歩後ろに下がった轟くんを前に、私はずれたお面を直した。


下がった轟くんの足場を支えるために、氷が崖のような作りになっていた。

気づけば、どの木々よりも高い。


(…これ、後で色々と言及されるよね…相澤先生怖いなぁ。)


生身の手を見て、そう思う。

その姿を見てなのか、轟くんの口が動いた。
轟 焦凍
個性、使うんじゃなかったのか。
あなた

使って欲しいなら、轟くんも使ってよ。半燃の方をさ。

轟 焦凍
…俺のテリトリー内にいる事、忘れるなよ。
あなた

そんな事、ちゃんと分かってるよ。

轟 焦凍
それに、既にお前の足は悲鳴をあげてると思ったんだが。
私は自分の足元を見る。
言われるまで気づかなかった。

足の裏から赤く腫れ上がるように、
そして完全に、薄い氷が足の裏の皮膚に張っている様に冷たくなっていた。
あなた

大丈夫、慣れっこだから。

轟 焦凍
そうか。
轟くんに指摘されてから、足が痛み出す。


(気づかなきゃ良かったな…)


と、また私の足元から氷が突き出る。
あなた

っ!

大きく飛び出た氷は、手を付き逆立ちのように避けた私に続けて伸びてくる。

余裕の無い中で気づいたこと。

轟くんと私が戦う、この氷の崖はかなりの斜面になっている事。
あなた

私はある事を思い付くと、伸びてくる氷を後ろ…ではなく、前へと踏み出すようにして避ける。


そのまま、かなりの斜面の氷の崖を滑り出す。
轟 焦凍
っ?!

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