第150話

コンクリートブロック
11,421
2019/06/29 01:44
常闇 踏陰
それはいいが、どうやって
あなた

両手を組んで、私がその上に片足を置くから、思いっきり上げて欲しい。

後は氷柱を順に渡ればいい。
常闇 踏陰
…分かった。…それより、靴と手袋はどうした? それに、その負傷した足じゃ
あなた

手袋と靴は轟くんに相手して貰ってたら、白熱しちゃって。足の怪我はそんなに大した物じゃ

足にキリリとした痛みが走った。

さっきからしているとは思ったが、あまり気にはなっていなかった。

でも、足の裏を見て初めて気づいた。
そして、" アイツ "が、ヘロインが私のいる方向が分かった謎が直ぐに解けた。


(轟くんの氷を滑ってたから、切れたんだ。出血…ヘロインの複合個性に鼻…血の匂いね。)
常闇 踏陰
いい。木奥は少し休め。俺が伝えに行く。
私が足が痛む素振りを見せてしまったからなのか、常闇くんはそう私にストップをかけた。
あなた

……ごめん、本当にごめん。

常闇 踏陰
別に気にする事はない。
あなた

そうじゃなくて、

常闇 踏陰
あなた

私に行かせて欲しい。

多分、私自身、分かってた。
あんな事になるという事は、頭のどこかにあったはずだった。

それでも何とかしたいって思ったのは、
君たちを自分の持つ力で守りたいって思ったから。


常闇くんを説得して、予定通り黒影の力も借りて上へと投げて貰った。

空中の涼しげな風が私を包む。

氷柱の上に飛び乗り、次から次へと順を追って上へと上がっていく。
あなた

よいしょっと、

轟くん達の方向に行くにつれ、噴煙の海が濃くなっていた。
あなた

だいぶ派手にやってる…

少し止まって、ズレたお面を直すと、袖で汗を拭った。
ふと轟くん達の方に顔を上げる。
あなた

もう少…し、

けど、そこには勝己の姿はなく、
あなた

っ!!!

悠然と氷の崖の上に立つ轟くんと、
あなた

轟くん!!!

轟くんの背後の空から迫るコンクリートブロックの影があった。

プリ小説オーディオドラマ